考察とは名ばかりで感想?

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ジュエルペット てぃんくる☆ 第31話「沙羅とサフィーでドッキ☆ドキ」

待ちに待った沙羅回到来!ヒャッハー なにせレオンやニコラより家庭環境が明らかになるの遅かったんですからね。まあその分、今までの展開を利用することが出来ましたが

あかりちゃんだけでなくミリアとも仲良くなった沙羅は仲良くお茶をするまでの仲になりました。ところが家族に関する心の傷をえぐられたおかげで「やっぱり友達要らない」状態に。再び心を閉ざしてしまった沙羅をいつものごとくあかりちゃんの頑張りがどうにかする話です*1

沙羅ツンデレ化(違

沙羅もこのアニメの登場人物の例に漏れず元は孤独な子。6歳の時に親元を離れて(インド)政府の研究所に来てからは一度も親に会ったことがないのです。旅立つ時に母からもらった鉢植えを実験に夢中で枯らしてしまったことを後悔している沙羅。あかりちゃんと一緒に忘れ物のペンを届けにきたラブラがその鉢植えを見つけてしまったためトラウマ大爆発。おそらく家族のことも鉢植えのこともだいぶ忘れていた*2のに、おかげで一気に思い出してしまったのでしょう。それでいきなり怒るわけですが、次の瞬間にはその反動で「別に大切なわけじゃないわ」と自分に嘘をつき始めます


ここで面白いのが沙羅の後ろ姿ですかね。予告の時点でやたら沙羅の後ろ姿が多くて「いかにも仲違いしてますという演出だなー」と気になってました。見てから考えると沙羅が自分の気持ちに背を向けてることも表してる感じです*3。他にも沙羅が怒る直前は優しい顔を見せていて、ギャップが大きくて怒ったのが印象的になるようにしてあるのに注目

さて次の日、沙羅は自分に嘘をつくのがエスカレートして「友達とか、めんどくさい」「いらない」などと言い出します。表面上は5話より前の人付き合いより実験優先な沙羅に戻った感じです。その5話といえばうまくいかなかった小さくする魔法を、沙羅が思いの力を理解することで成功させる話。ここでまた小さくする魔法を使った実験がうまくいかないのがうまいですね*4


その後の沙羅が試験管の液体を混ぜるところの演出に注目。黄色い溶液に青い溶液がたれるのですが、青といえば沙羅のイメージカラー。あかりちゃんの赤とミリアの緑を混ぜれば黄色ですね。液体の色で人を例えたのは何故か。これは一度混ざったら戻せないことを表しているのではないでしょうか。つまり友達いらないといっても、一度その良さを知ってしまったからにはそうもいかないということかと。そして液体を混ぜてるのは沙羅なので、本心ではやっぱりあかりちゃんとミリアの仲に混ざりたいと思っていることを表しているのでしょう。そして「仲直りしようよ」とサフィーに言われた沙羅は「必要ないわ」と言って、黄色い溶液の試験管と青い溶液の試験管をそれぞれ試験管立ての反対側の端に立てます。細かい演出だなぁ

沙羅の自覚――流石の最年長

実験がうまくいかないので休憩がてらお茶にすることにした沙羅。しかし頭に浮かぶのはあかりちゃんやミリアのことばかり

ここで他のブログを見てたら「なるほど」と思うことを書いてる方がいたのでそれを紹介

「最近あかりやミリアと近付きすぎた」 と冷静に分析できる沙羅だからこそ自分の変化にも気付けたんだろうし.「気分転換にはスイーツ」 とか言っている時点でたぶんあかりやミリアと出会う前からは変わっているのがわかってニヤニヤ.何気に食器も可愛い感じのものを揃えているし.あの実験室で浮きまくっていた.
http://d.hatena.ne.jp/cointoss/20101031/1288505973

…「気分転換にはスイーツ」には「やっぱり女の子なんだなぁ」、かわいい食器には「まあ女の子向けアニメだから小道具もかわいくないとね」「ストロベリーカフェの食器とデザイン共通にしとけば楽だもんな」でスルーしてた自分の目は節穴だったよ! 違和感を感じたらちゃんと考えよう。

このアニメならべたにビーカーにコーヒーときてもおかしくないもんなー*5

と脱線はここまでにして、沙羅が自分の変化に自覚的*6ってのが興味深い。あかりちゃんは自分の成長に結構無自覚ですからねぇ。流石に数年お姉さんなのは違いました。この二人を対比させといて、そのうちあかりちゃんが自分が変わったことをしっかり自覚するのでしょうか

しっかしそう考えて見れば、冒頭のお茶してるシーンでミリアにマロン取られたのに対して、イチゴを取ってミリアと同じ言い分で反撃ってのはほんと影響されてますな

劇的かもしれないビフォーアフターの結果元の鞘に戻る

それでも「一人がいい」と自分に言い聞かせながらケーキを食べ終わった沙羅。しかしあかりちゃんが届けてくれたペンを見て心が揺らぎます。そのときサフィーにつれられて魔法学校の中庭に行ってみると、鉢植えをよみがえらせようと懸命に魔法をかけ続けるあかりちゃんの姿が。枯れた花をあきらめられない気持ちと友達の大切さを思い出した沙羅はあかりちゃんと仲直りします。そして二人で魔法をかけると、花は見事に生き返りました。生き返った花を見て、沙羅はいつか両親と再会できるかもしれないと希望を取り戻すのでした。( ;∀;) イイハナシダナー

ときれいに終わったところで、今回について沙羅の考え方の変遷を軸にまとめてみましょう。まず研究所に来てすぐあたりの沙羅*7。花を枯らしてしまったことを強く後悔していて、なんとか元気な姿に戻らないかと一生懸命に水をあげてます。この花はお母さんからもらったものなので家族と沙羅の関係を象徴していると考えることができますから、この「初期の沙羅」は家族に会いたいという思いが強いと分かるわけです

次に研究所に来てある程度経った頃からあかりちゃんと出会うまでの沙羅について*8。サフィーと出会った頃の様子はといえば、家族や鉢植えについては淡々と語り実験のことになると笑顔を見せています。「初期の沙羅」は実験に夢中になって花を枯らした事を後悔していましたが、「昔の沙羅」はもう実験が楽しければ家族の事なんていいやといった感じです*9。それでもたまに家族が恋しくなって鉢植えに水をやっていたと。さらに同年代の人間の友達が一人もいなかったことで、逆に友達がいなくても平気だったことがてぃんくる序盤の様子からわかります

そしてあかりちゃんと出会い友達が出来た沙羅を「今の沙羅」とすると、友達いらない!状態だった「今回の沙羅」は家族を失ったトラウマがよみがえったことで「今の沙羅」であるデメリット――友達を失ったら大ダメージ――に気づき、友達不要の「昔の沙羅」に戻ろうとしている状態ですね。そんなお約束で本末転倒な対処法で実験とサフィーは裏切らないとうそぶいてる*10感じですが、やっぱり一度友達というものを知ってしまったら元には戻れません。「昔の沙羅」は無表情で「寂しくない」と言う一方で「今回の沙羅」が「めんどくさい」というときはどこか寂しそうな表情です。「昔の沙羅」≒「今回の沙羅」であっても決して=ではありません

「今回の沙羅」の嘘を吹き飛ばしたのはあかりちゃんが頑張る姿。花をよみがえらせるのをあきらめないあかりちゃんの姿が家族のことをあきらめていなかった「初期の沙羅」と結びつくことで、トラウマになっていた家族のことと向き合うことができ、友達不要論が必要なくなったんですね

また、家族の象徴である花が復活したことは家族とまた会えることを暗示しています*11。それに花を元に戻すというあきらめていた願いが達成されたことで、同様にあきらめていた家族と会うという願いもきっとという機運が高まります。こうして沙羅は両親と再会する希望を取り戻したわけですね

花がそのまんま元の通りでなく成長しているのも面白いですね。もらった頃の花=「初期の沙羅」、枯れてた花=「昔の沙羅」、生き返った花=「今の沙羅」と考えることができます

今まで待った甲斐があるのか今回

3クール目にしてようやく沙羅の過去や家庭環境が明らかになりました。ここまで待たせた甲斐あって、それまでの話をふまえまくってます。

冒頭の3人が仲良くしているシーンはミリアと沙羅が仲良くなる21話あってのものです。それまでは9話で描かれたように、ミリアと沙羅はあくまであかりちゃんと仲良くしてるから一緒にいるだけで、二人の仲はそれほどよくありませんでした。沙羅の回想に5話や9話だけでなく協力することを描いた22話も入ってます。一方あかりちゃんは前回を回想していましたね。あかりちゃんがお母さんとの仲を取り戻す30話は、沙羅が家族への思いを取り戻す今回につながるわけです。前回のミリア回*12も直前があかりちゃん回で、あかりちゃんは勢いに乗ってましたがコミュニケーション能力の不足を感じさせる展開に。前回の経験が原動力となって頑張りうまくいってる今回とは対照的ですね

沙羅回でもミリア活躍

14話のようにミリア回で沙羅の出番が薄いことがありますが、今回は5話と違って沙羅回でもミリアが活躍してました。最後にミリアがケーキを持ってきたのは元の鞘に戻ったことを表してますね。冒頭にケーキ食べるシーンで仲良くなったのを表してましたから*13

てぃんくる全体での位置づけ

家族を失った悲しみを抱え、人と関わることを拒否する。「今回の沙羅」はそういうキャラだったわけですが、このアニメにはそういうキャラがもう一人いますよね。そう、アルマです。実験は魔法に、サフィーはオパールに対応してます

人との関わりの大切さ*14がメインテーマに関わってくる。だからぼっちのあかりちゃんが主人公と

*1:序盤から一貫して描写されている、人のために頑張れるというあかりちゃんの長所。最後まで貫き通してくれるはず

*2:たまにふらっと思い出す程度

*3:まあ予告で多用されてたのは顔の作画を修正しなくても使えるからかもしれませんが

*4:ほんと以前使った話を使うのがうまいアニメだな

*5:なんだかんだでマイメロの系譜

*6:でなきゃ以前のように戻ろうとしないわけで、今回の話が成立しない

*7:とりあえず「初期の沙羅」と呼ぶことにする

*8:以降「昔の沙羅」と言うことにします

*9:逆に言えば実験が楽しいおかげで寂しさを紛らわすことができたわけですが

*10:実際は裏切られてるんですけどねw 「昔の沙羅」には出来なかった小さくする魔法で実験に失敗し、サフィーは「今回の沙羅」を何とかしようと奮闘してる

*11:沙羅がそう感じるであろうことがポイントで、作中で再会が描かれるかは別の話

*12:28話。キャラソン

*13:今思えば一旦仲悪くなるフラグだったよなー。仲悪くなるから仲良くなってることを強調する必要があった

*14:前回は人の幸せが自分の幸せって話が出てきました