考察とは名ばかりで感想?

最近は主にゲーム(戦略系)と資産運用(FXで食ってくぞ!)

シリーズ最高のきれいさと見せかけて、シリーズ最高にアナーキーなジュエルペット――劇場版ジュエルペットを見てきました

いやー、面白かったです劇場版ジュエルペット
見る前からテンション上がりすぎて、スマプリ映画の予告が流れたときには「予告だけど劇場でスマプリが見れてウルトラハッピー!」って心の中で叫んでましたよ。より実際のテンションに即すと、アッシュローラーさんみたいな感じで
「ウルトラハッピーーーィィィィッッッッッ!!!!」という風でしたが。

(以下完全にネタバレご注意)

復活の白い悪魔

そんなテンションのまま本編が始まったもんだから大変です
マイメロの目のどアップ(笑)から引いてルビーとマイメロのツーショット
二人でこの映画のポスターを見ながら「マイメロも映画に出たい」ときましたよ

もう気が済むまで声を出さずに大爆笑でしたね。一生で最も自分がニヤニヤしていた時間だったことでしょう

笑いあり涙ありだったジュエルペットの方と違って終始ギャグでお腹いっぱいでした

グミミンとマーナ姫、伝説としきたり

さて、一方のジュエルペット。基本的に子供向けのきれいなお話なのですががが

伝説のスイーツペット

ここで終盤のあらすじ
スイーツランドの力のみなもとであるキャンディタワーが古くなって壊れそう→実はパク君の正体は伝説のスイーツペット グミミンで、古くなったキャンディタワーを食べて処分するのが使命だったんだよ! グミミンが数千年単位の長い眠りにつくことでタワーが再生するよ!→そんな! せっかく仲良くなったのにお別れなんて嫌だよ!→みんなの頑張りでグミミンを止める→タワーはどうするのかと思ったら、騒動の発端の公爵が責任を取ってタワーを建て直すから安心だね

すげぇんだぜこいつら…。スイーツランドの存亡に関わるってのに、友達(パク君)を助けるのに躊躇がねぇ。グミミンを止めたらタワーはどうするのかなんてこいつらには考える必要ない*1。友達は助けるに決まってる。タワーが壊れるとともに天変地異に見舞われるスイーツランドなんて、なかった

結論としては、伝説?使命?そんなのクソ食らえ! 一緒に楽しい時を過ごした友達だってことの方が何万倍も大事なんだっ! というストーリーでした。そう考えると、伝説がめちゃくちゃあやふやだったのはポイントですね

スイーツランドの王女

はい、ここで序盤(?)、マーナ姫の婚約の話に戻ります。いやー、公爵にも関わる重要な要素かと思いきや全ッ然終盤の話に直接関わりませんねー

そもそもスイーツランドのお姫様、マーナ姫の7歳の誕生日をお祝いするためにジュエルペットがスイーツランドを訪れたのが話の始まりなのですが、この機会に姫を許婚の公爵と正式に婚約させようと国王が言い出します。なんでも王位継承者が女子の場合、公爵家の者と結婚するのがしきたりだとか

それに対する姫の返答は↓

公式サイトのキャラ紹介がなんともわかりやすい

そしてどうしても婚約しろと言うのなら王女をやめて城を出ていくと言い出すマーナ姫。今出ていかれてはお誕生日パーティーはぶち壊し。この日のためにスイーツペットが作った特大ケーキも、せっかくジュエルペットがダンスを披露しに来てくれたのも台無しになってしまうので、婚約の話は引っ込めることに

なんて姫だ。普通の姫は自分の立場をわきまえているものだが、この姫は自分の立場の使い方を知っている!

そして最も大事なポイントは、せっかくの誕生日を台無しにしてはいけないと国王が空気を読んだところでの止めの一言
「では婚約のしきたりはナシッ!ということで(芦田声」
えええええ!?!?
この場で婚約を話し合うことでも、婚約をすることでもなく
婚約のしきたりそのものをぶち壊しやがったああああ!!

この横暴は伝統の象徴たる王族としてのアイデンティティに関わると思うのだが、さっき述べたようにこの子は王族やめても別にいいと思ってるので…

まとめ(まとまれ)

結局、フラれた公爵↓が姫に仕返しをしようとして騒動が起きて以降、

マーナ姫の言葉通り婚約の話は全く出てこないわけですが
王女であることにこだわらず、しきたりにとらわれないマーナ姫が、パク君に伝説のスイーツペットであることをやめさせる*2というのはきれいにまとまっていますね

パク君を元に戻すのに王女のティアラの力を借りてるのとか、パク君を戻した代償を埋め合わせるのに公爵の権力を使ったあたりはきれいでもなんでもなく最高にブラックですけどねw

しっかし、公爵の仕返しで誕生日パーティーできなくなってもあっさり延期して問題なかったり
タワー復活の自然の摂理(?)をねじ曲げても何とかできるあたり、
こういうスイーツランドのゆるさなら姫が城を出ていっても普通にそこらのスイーツを食べて生きていけそうw
この国にしてこの姫ありと言いますか

まとめ:
マーナ姫…自分の思いに反するなら、しきたりをふっ飛ばして王女をやめる
グミミン…自分と友達の思いに反するので、使命をふっ飛ばして伝説のスイーツペットをやめる

ぶっとびマーナ姫

本題終了以下余談
このように、こいつ王女じゃなくて革命家あたりじゃなかろうかと思えなくもないマーナ姫ですが、ジュエルペットのキャラだけあって他にもいろいろと強烈です

  • 空き時間を漫画執筆に費やす「今日はこのあたりでやめにしましょう」→次の登場シーン「はっ! 時間があったのでついまた漫画をかいてしまいました」※同じ日です
  • やたらと絵にかいて説明。おかげでわかりやすい。「絵にかくとこんな感じです」
  • 城を出てこうとする姫「次に会うときは流浪の旅人か、売れっ子漫画家になっていることでしょう」

あかりちゃんどころじゃなく漫画大好きだなこの子!

スイーツペットと魔法

ジュエルペットに手伝われて特大ケーキを作り直すスイーツペット達
魔法を使って一気に完成!なんて横着せずに、基本的に手作りした方が美味しくできるとか
終盤グミミンを助けるのに魔法を使いつつも、結局はみんなの思いが大事という布石ですね
基本的に手作りとは言ってもところどころ魔法で補助するあたり特に

そして調理器具ってレベルじゃないメカ*3を魔法よりも活用してるあたりに、自然の摂理が駄目でも自分たちでタワー建て直せばオッケーってなって工事用エレベーターとか出てくる展開の科学大勝利っぷりと同じ物を感じる

そういえばグラナイトいたっけ?

コールはやみやみしいオーラで強烈な存在感があったけど
あの仲良しっぷりだとパク君にルビーを取られそうな気が…

パク君が友達のこと思い出すきっかけになるスイーツランド観光の最初の方に出てくるんだよね、おみやげに金平糖拾うたびにパク君が食べちゃって集まらないの。これは冒頭でルビーがラズベリー摘むたびに食べちゃって全然集まらないのとかぶせてきてるわけで、この時点で二人はこんなに気が合うんですよーってのを見せられているのだ

ところでルビーの国王と王妃への挨拶がくだけすぎってツッコミ入れられるほどだったけど、こりゃマーナ姫とも気が合うんだろうな

追記:アナーキーだけどきれいという絶妙なバランスを成り立たせるもの

最終的にはパク君の、生まれ持った立場を捨てるべきときもあるというお話でしたが、あくまで「そういうときもある」って話なんですよね*4

実際マーナ姫は姫をやめると言い出すことがあっても、自身のスイーツパワーや王女のティアラを使って事態の対処に動き、姫としての責任を全うしますし、無責任に騒動を起こした公爵は責任を取らされるわけです

このように自らの立場を捨て去るパク君のカウンターとして責任を果たすキャラが配置されており、子供向けとしてのバランス感覚に優れた作品が成立しているのです

しかし身に持つ責任から一人開放するために他の人が責任を果たさなければならないというのは、先に述べたように黒い話であり、美談でもあり教育的でもありますかね

とはいえ最も頑張ったのはただ友達を助けるために奮闘したジュエルペットとスイーツペット達であり、マーナ姫も姫としての責任のためだけに頑張ったわけではないのですから、そのことをちゃんとわかっておかないとストーリーの本筋からそれてしまいますね

*1:代替案がまるで出てこないため、視聴者としてはグミミン助けていいのか?助かるのか?と先が読めずにドキドキさせられるといううまい話の運び方

*2:最終的にやめさせたのはルビー達ですが

*3:巨大オーブンとそこにケーキの生地をフォークリフトで運んでくるエクレンは見物。主にヘルメットの無茶なかぶり方が

*4:突き詰めていくと、ジュエルペットシリーズに共通する「友達は大事」というテーマが最上位にあり、そのためには… という話