以前ガンダムW見て「面白かったけど話のテーマがよくわからない…」となった後に、続けてエンドレスワルツを見ることで「なるほど。こういう話だったのか」と腑に落ちた経験を持つくるっとです*1
劇場版アイカツスターズを見てきて濃厚なゆめローに万歳!という状態ですが、それはおいてもストーリーの芯が通ってるというか、アイカツスターズ全体のテーマをきっちり盛り込んでていいよね…という話をこの記事でしようと思います*2
以下ネタバレあり
大体いつものアイカツスターズ
そもそも劇場版のストーリーが普段のテレビアニメのテーマに直結している以前に、この劇場版割と普段やってることとの落差が少ないです。直前の放送回が映画の話の前フリになってるのも相まって、1時間のTVスペシャルだったとしても違和感ない。劇中では
- 調子に乗って妄想が爆発するゆめ(物事が簡単に進まないフラグ)
- ゆめがすばると遭遇。ゆでダコ言われて怒る
- 学園長の企みに気付いたひめ先輩が学園長を詰問する
などおなじみのパターンが多く見られ、いつものノリになっていましたね。
そしておなじみのパターンの中から、テレビでも山場な重要回(10話と18話)のパターンをこの劇場版に見出すことができます。つまり、
- チャンスを前にして調子に乗るゆめ
- しかし上手くいかない。現実は厳しい
- 一方仲間達(主にローラ)は順調そうな様子
- 周囲のアドバイスがあったりして地道に努力を重ねる
- 下積みでできた縁に助けられる
- 大成功!
ゆめのアイカツとは。ゆめの個性とは
ここで重要なのが逆転の鍵になる4とか5のあたり。面白いのは先に3の展開で仲間とゆめを比較することで、その後の展開をゆめの特徴として見せていることですね*4。これがゆめのアイカツだ!と。そこで第1話で個性を強調していたのが思い出される。一人一人個性が違うから一人一人アイカツも違う
ついに敵になることができた学園長
だからこそのセルフプロデュースであり、自分がやりたいようにやるべき*5だからローラもやっぱりゆめと組むわけです。一方アイドル本人の思いより自分の思惑で動く学園長、ローラの意志をスルーしてユニットを押し付けてくるわけで、作品の根幹であるセルフプロデュースとは真っ向から対立する、完全な敵役なのです。これまで学園長の事情を隠す副作用でキャラがあんまりはっきりしませんでしたが、これでさっぱり悪者だとわかります
ここで興味深いのは、ローラが学園長に言いくるめられた結果ゆめとのユニットを断ったのは、ゆめのためを思ってだというところ。これはまず、例えゆめのためでもゆめの意志を無視している=学園長の悪役思考にはまっている*6。そしてその後ゆめが、目の前のできることを精一杯やることが大切だと気づくのですが、校長がローラに吹き込んだ「今後のため」というのはゆめの気付きと正反対なわけです。これはローラが本番前にとにかくベストを尽くすだけだ的なことを言っていたのともつながってきて、逆にいくら今後のためと言ってもその時目の前にいるファンに対してベストを尽くせないようでは駄目なのです
学園ものレベルが上ったので学園祭っぽさも上がる
ゆめのアイカツは手作り感が強く、これまで以上にセルフプロデュースという感じなのですが、四ツ星学園もこれまでのシリーズではなかった生徒会っぽい組織ができていて、アイドル達が自分でやっている部分が強調されていますね。そのせいか今回の映画で出てくる学園祭っぽいところが、旧シリーズの学園祭以上に学園祭っぽい感じになっています。このようにアイカツスターズになってセルフプロデュースが強調されているのは、デザイナー不要なドレスメイクのシステムから逆算してこうなっているのかどうか興味深いですね。
それにしてもチケットを手売りしたり収録を手伝って雑用したりと、アイカツではこれまでになく下積み描写の続くゆめですが、いちごちゃんから代替わりしたあかりちゃんのさらに次の主人公としては納得できるところですね。アイカツを通じて(アイドルに限らず)出会いがあるのも、ルミナス全国ツアーをさらに発展させたストーリー展開と考えることができます