考察とは名ばかりで感想?

最近は主にゲーム(戦略系)と資産運用(株で食ってくぞ!)

株式インデックス100%は絶対の最適解ではない――2冊分の書評に代えて

最近まーたインデックス投資クラスタの過激派が「株式指数にフルインベストメントが理論上唯一の正解!!」と吠えていたようですが、それに対して「いうてハーバードやイェールは長期で指数に勝ってるじゃん」という、よく知られた話をしてやろうという回です

何でそんな話をしようと思ったかというと↓の2冊を読んだからですね

f:id:kurutto115:20200624174204j:plain

内容紹介とか書評とまではいきませんが、一部要旨を引っ張ってきて「オルタナティブ投資で指数に勝てるのでは?」という話をします

投資理論は「啓発的」でしかない

まずは1冊目、『世界最強のエコノミストが教える お金を増やす一番知的なやり方』です

本書の内容で注目したいポイントは二つ

前者は特に本書でページを割かれている話題で、理論は多くを示唆するが、完全無欠に正しいわけではないということですね。頭でっかちでユーモア欠乏症のインデックス狂信者には耳が痛い話ですね

そして後者、個人投資家は月次や四半期での運用報告を求められないので長期の視点で投資ができるという点。これにより理論の裏をかくことができると本書では語られています

つまり、株価は必ずしもランダムウォークではなく、短期的にはモメンタム*1、長期的にはミーン・リバージョン*2の性質があり、モメンタムに乗るのは難しいのでミーン・リバージョンに乗っかって逆張りしろとのこと。後は地域や資産クラス、業種を分散しろ*3、個別株は競合他社に対する優位性を意識しろ、という普通のお話

とはいえ著者が勧める投資法は少々どころでなくハードルが高い。一つはいくら逆張りが効果的とはいえ、流行が過ぎたテーマ投信や不人気個別株を買って、いくら長期とはいえ個人の運用期間中にちゃんと上がってくれるのを信じて、買って保有し続けられるのかという疑問*4。二つは、分散するべきとして、著者の勧める「賢明なる投資家の投資戦略」で行くと例えば

国際分散投資の観点から新興国株を買おう

逆張りということで今コロナで大変なブラジル株だ

セクターも逆張りして石油とか素材がいいな

指数との相関を下げるにはグローバル企業ではなく地元密着企業がいい

もちろん競争優位性のある銘柄じゃないと困る

などいった話になるのですが、そこまで銘柄分析(しかもマイナー外国株)できる人は国内株か米国株で割安成長株投資すれば普通に短期で儲けられるだろ! 難易度高いわ! という話

ヘッジファンドで儲ける大学基金

そこで登場するのが2冊目『エンダウメント投資戦略』

エンダウメントとはアメリカで大学に寄付されたお金を運用する基金(大学基金)のこと。本書からも注目ポイントを二つ上げると

はい、前者は1冊目と共通するところがありますね。ある意味で個人投資家機関投資家より有利なのです

後者については、イェール大学の1994年から20年間の年間平均リターンは13.9%ですってよ! アメリカの大学基金機関投資家として優秀なのは結構有名なはずですが、投資ブログの話題になりにくいのはオルタナティブ投資の代名詞であるヘッジファンド個人投資家には敷居が高い(ように思われている)からでしょうかね。しかし! 近年は公募投信の形で提供されるヘッジファンドであるリキッド・オルタナティブが着々と広まっており、本書でもそれを利用することを勧めています*5

ヘッジファンド投資の死角は?

と、ここでインデックス派から次のようなツッコミが入るかもしれません

  1. ヘッジファンドのインデックスには現状投資できない
  2. 勝てるファンドを選ぶくらいなら勝てる銘柄を選ぶほうがマシ
  3. 近年ヘッジファンドは株式指数との相関が上がっている
  4. 近年ヘッジファンドは株式指数に勝ててない

順番に話すとしてまず1つ目。株や債券、不動産 (REIT) についてはインデックスファンド*6に投資することで銘柄に迷う心配はなく、本書でもインデックスに投資することを勧めています。しかし、肝心のヘッジファンドのインデックスは投資できないのです。そのため、本書では個別のリキッド・オルタナティブから選択することとし、そのための指針を示しています。ぶっちゃけ1冊目の述べる「賢明なる投資家の投資戦略」に比べるとずっと現実的に思われます

しかし、個別のファンドから選ぶとなると勝てるファンドを選べるでしょうか? ここで2つ目のツッコミの話になります。多くのアクティブファンドがインデックスに勝てない中、勝てるファンドを選ぶのは個別銘柄を選ぶのより難しいだろうと。いいえ、勝つ必要はありません。指数との相関が低ければ、資産全体としてのリスクリターン比は指数より向上するのですから、リターンはそこそこに相関で選べばよいのです

だいたいヘッジファンドってリスクとリターンがピンキリで、世間のイメージ通りのハイリスクハイリターンのファンドもあれば、債券みたいに堅いローリスクローリターンのファンドもありますからね。加えてそもそもインデックスに勝つ/負けるというのが個人投資家の発想ではない。だって理論的にはフルインベストメント以外では必ず指数に負けるんですから。そもそも指数に対する勝ち負けを気にせずに長期的な投資ができるのが個人投資家の有利な点ですのにね

3つ目については相関の低いファンドを選べ。お終い。どうも近年相関が上がっているのはリーマンショック以降のヘッジファンドへの資金流入が原因らしく、規模が拡大しすぎて凡庸な運用しかできなくなったり、凡庸なファンドが増えているせいらしいです。アクティブファンドと同様、優良なファンドでも規模が大きくなりすぎると成績が上げられなくなるので、優良な投信は一定の運用資産額で募集が取りやめになるかもしれませんね

4つ目はリーマンショック以降、株が強すぎるのが原因でしょう。まあ分散投資なので資産クラスで優劣がつくのは仕方のないことです。大学基金オルタナティブ一辺倒でなく伝統資産にも投資してるわけですしね

自分ヘッジファンドという選択

というわけでここまで個人投資家ヘッジファンドを利用することの可能性を説いてきましたが、僕自身は当分ヘッジファンドに投資する予定はありません。何故ならシステムトレードを行うことで、個人で国内株ロングショート戦略を実践しているからです。これぞ自分ヘッジファンド

*1:動いた方向と同じ方向に動く

*2:動いた方向と逆に動く

*3:分散について著者は興味深いことを言っていて、投資の普及に従って各資産クラスの相関が増していることに関して、長期で見れば強く相関するはずがないから気にすることはないと述べている

*4:だからこその分散なんでしょうけど

*5:というか、下手に私募ファンドに投資するのは詐欺などのリスクがあるので止めるよう書かれてます

*6:ETFを含む