考察とは名ばかりで感想?

最近は主にゲーム(戦略系)と資産運用(FXで食ってくぞ!)

資産クラスを5つに分類――景気・インフレ・金利の影響

ふと、資産クラスについてつらつら考えていたので、この機会に資産クラスの分類と、各資産クラスが景気、インフレ、金利によってどのような影響を受けるかまとめてみました*1

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株式

資産運用の王道、株式です

当然景気が良くなると価格が上昇、悪くなると下降します

インフレ時には企業の生み出す財やサービスの価格も上昇するので、それに応じて株価も上昇しますが、企業が消費する財やサービスの価格も上昇するので、利ざやが減る場合にはインフレに株価が追いつかない場合もあります*2

金利が上昇すると全ての利回り商品の利回りが見劣りするようになるので株も下落します*3。借り入れによる金利のコストも増大しますしね

債券

株に比べて安定している分リターンには劣る債券です。不況時に株が売られるとその分資金が債券に流れるので債券価格は上昇します。まあ、最近はこの逆相関が弱まってきて、一緒に下がることも多くなってきているようですが。ちなみに債券の中でも社債は株と正の相関です。不況時には貸し倒れリスクが高まるので、社債は下落しますから

最近は株と債券の特徴を併せ持つハイブリッド証券なんかもありますね*4アセットアロケーションを考える上では、半々とかの割合で株と債券に割り振って計算するみたいです

株式の価値が実物資産*5と結びついているのに対して、債券の価値は額面の現金*6と結びついているので、インフレ時には現金とともに債券の価格も下落します。まあ、利回りがインフレ率を上回っていればマイナスにはなりませんが。実際、米国債券の実質リターンは長期で見ると右肩上がりか横ばいになっています*7。ただ、これはアメリカが世界大戦での敗戦を経験していないから目立ったマイナスがないという面がありそうで、枢軸国や枢軸国に侵攻された国では20世紀を通じた債権のリターンは通算でマイナスになっているのがちらほら。てかドイツは何でプラスなの。1次大戦後にハイパーインフレ食らってたのに

金利が上がっても発行済み債券の利率は普通固定なので、債券価格は下落します。価格が下落することで実質的な利回りが上昇し、上昇した市中金利と釣り合うようになるからです。長期の債券*8ほど金利の影響をより大きく受けるのがポイント

現金

生の現金に加えて預金やMRFも現金に分類しましょう。個人向け国債も元本保証されてるので現金カテゴリーで考えてよいと思います。短期債券も現金に準じるものと考えてよいかもしれません

現金の価値は直接は景気に影響されません*9。しかし、株価との比較した相対的な価値で考えれば、株価が上昇する好況時には現金の価値は下落していると考えることもできるでしょう

インフレは物に対して通貨の価値が目減りすることなので、当然現金の価値は下がります。しかしタンス預金ならともかく*10、預金などの利率は通常期待されるインフレ率を上回ります。そりゃ利回りがインフレ率を下回っていては、金融商品として実物資産に勝てませんからね。なので(名目)金利=実質金利+期待インフレ率になるのです*11*12。実際多くの期間で定期預金の金利はインフレ率を上回っているようです

金利が上昇すると他の資産クラスは実質的な利回りが金利に見合うように価格が下落しますが、現金の利回りは金利に連動するので金利の上昇に合わせて現金の魅力は増します。他の資産クラスの価値が下落するので、相対的に現金の価値が上昇するともいえますね

商品

金を含むコモディティです。美術品なんかもここに分類できますね*13。つまりは実物資産です。というわけで不動産もここに分類するのですが、通常コモディティは利回りを生まないのに対して、不動産は貸し付けることで利回りを生むという特徴があります*14。コンテナなんかをリースして利回りを得るようなのも、不動産と同じように分類できますね。これらは株式や債券という伝統的資産に対して、後述するデリバティブと合わせて代替資産(オルタナティブ資産)と呼ばれます

金融資産としての需要が主である金を除いて、好況時には実需が増えるので価格が上昇します。ちなみに現状の暗号資産も金融資産としての需要が主ですが、市場がリスクオンの時に資金が流入するので好況時に価格が上昇する傾向がありますね*15

インフレ時は物価が上がるので、当然実物資産は価格が上昇します。理想的に平均できれば名目利回り=インフレ率となる上昇の仕方をするので、実質金利ゼロの物価連動債(かつゼロクーポン債)のように考えれば理解しやすいかもしれません

金利が上昇すると利回りプラスの資産でも下落するので、利回りゼロが主なこの資産クラスも当然下落します。というか、インフレ率の変動と合わせてどちらも実質金利で説明できるんですよね。インフレ率が上がると実質金利が下がるので上昇。名目金利が上がると実質金利が上がるので下落。と

デリバティブ

これまでの資産クラスに該当しない金融派生商品です。ヘッジファンドが代表的。個人投資家が手を出しやすいものでは、VIXとか、仕組債とかですかね。シストレもこれに入ってくると考えられます。別名はオルタナティブ戦略とか代替手法。って後者はとある投資信託の説明くらいでしか見かけませんけどね。未公開株ファンドなんてものありますが、これはどちらかというとコモディティと合わせて実物資産になりますか

景気やインフレ、金利の影響は原資産によって色々です。絶対収益追求のヘッジファンドは影響されないのを目指す市場中立(マーケット・ニュートラル)戦略とかありますけどね

まとめ

  好況 不況 インフレ デフレ 金利上昇 金利下落
株式 上昇↑ 下落↓ 上昇↑ 下落↓ 下落↓ 上昇↑
債券 下落↓ 上昇↑ 下落↓ 上昇↑ 下落↓ 上昇↑
現金 下落↓ 上昇↑ 下落↓ 上昇↑ 上昇↑ 下落↓
商品 上昇↑ 下落↓ 上昇↑ 下落↓ 下落↓ 上昇↑
デリバティブ 様々 様々 様々 様々 様々 様々

まあ商品の中でも金は好況で、不況でだったりしますが大体こんな感じのはず

*1:間違いがあったら申し訳ない

*2:好況とインフレ、不況とデフレは基本セットのはずですが、金融政策はそれを緩和させる方向に動くので一概には言い切れませんかね

*3:言い方を変えれば、リスクプレミアムは金利の影響を受けないので、金利=非リスク利回りが上昇した分、リスクプレミアムを上乗せした利回りも上昇する。利回りが上昇するために株価が下落する

*4:転換社債とか

*5:生産財としての企業

*6:返ってくる元本

*7:ジェレミー・シーゲルの『株式投資』による

*8:正確には残存期間が長い債券

*9:景気変動に付随するインフレ率の変化が影響してくる

*10:当座預金やため込んだポイントなんかもそうですが

*11:だからインフレになると名目金利が上昇するため、その利回りを実現するよう債券価格は下落する

*12:なお短期的には実質金利がマイナスになることもある模様。ちなみに物価連動債は利回りが実質金利になるように値動きするので、そこから期待インフレ率を見積ることができる

*13:一説によると暗号資産(仮想通貨)もコモディティとして考えることができるとか

*14:まあ、普通の商品は0の利回りを持つと考えれば同じように考えることもできるかもしれません。自分で住んでる家は、キャピタルゲインがあり得てもインカムゲインはないですし

*15:新興国株やジャンク債みたいだな…