凍結騒ぎに翻弄されるアニメ実況民の新たな希望となるか? 公式ツールX Proの使い勝手をレビューします
タイムラインの更新頻度は? 投稿はスムーズ? ネットにも詳しいレビューが少なく、実況で使い物になるのか分からないのに、課金しないと試しに使ってみることもできない! しょうがないので思い切って課金した筆者が人柱として、実際に使って分かったリアルな使用感を解説していきます

背景――突然の凍結祭り
去る11月6日、突如元Twitter現Xに異変が生じた。大量のアカウントが一斉に凍結されたのである
その原因として取り沙汰されるのがOldTweetDeckというブラウザ拡張機能。詳しくは後述するが、現X閲覧・書き込み用ツールとして根強い人気を誇っていた
結果、アニメ実況クラスタにも多大な被害が及ぶこととなった…
というわけで、実況民が現Xを使う方法の1つはほぼ失われました。だからといって普通に現Xの画面を開いて、タイムラインを手動で更新するんじゃやってられない。そこでやはり何かのツールが必要になるのですが、ある意味安牌なのが公式ツールのX Proです。公式なんだから使うと凍結される心配無いもんな!*1
しかしこのX Proの使い心地は実際どんなところなのか? 課金が必要で試しに使ってみるにはハードルが存在する一方、使ってみたレビューが今一ネットに存在しない。そこで自分は身銭を切って確認する一方、折角人柱となったからにはこうして記事を書いてネットに情報を伝えることにしました
X Proを使ってみた感触
細かい話は後にして早速本題の使用感。自分としては十分アニメ実況の用に足るという結論になりました

――TLが滑らかに流れないとね
まず第一に新着を自動で読み込んでくれないと話になりません。実際に使ってみたところ、早くて数秒、遅くても30秒ほどの間隔でタイムラインが更新されることが分かりました*2。リアルタイムにはほど遠いですが、まずまず使えるという程度ですね
ちなみにショートカットキー.で手動リロードできます。まあ毎回確実にタイムラインが更新できるとは限らないようで、自動リロードと大差無い感触です(多少は早くなるかも?)。また、開く列の数を変化させてもそれに応じた変化は無い印象
――書き込みもスムーズでなければ
投稿の入力欄は左側に開くのですが

これ、書き込みが終わると毎回閉じちゃうんですよね。なので開き直さないといけない(てか書き込み始めたり終わるたびに画面のほぼ全部が右行ったり左行ったりするUIとか何考えて作ったの???)
そこでキーボードショートカットのnを押しましょう。通常のホーム画面でもお馴染みの入力欄が出てきます

ただこれはこれで画面が隠れちゃうんですよね。これは実況には不利(特に自分はモニタ配置の関係で実況用リストを中央に配置したいので丸かぶりしちゃう)。そこで同じリストを大小二つ配置して、片方は隠れない配置で解決!

この同じものを複数置く配置、実際に使ってみたらタイムラインを遡ってる最中でも新着ポストが見れて地味に便利だと判明しました
ところで入力欄を開くのがショートカットキーで一発なのに加えて、投稿もCtrl+Enterで送れるので実に実況に便利ですね*3
――その他便利な機能
他にもX Proは色々な機能を備えており

例えば列の幅や画像の大きさの設定があります

これらの設定は列ごとに変えることができます。3種類の幅はそれぞれこんな感じ

他にもキーボードショートカットが豊富だったり

異なる配置の「デッキ」を作成して切り換えることができたり


(というか課金機能の「話題の記事」*4って通常のページで開くよりX Proで見た方が絶対良いじゃん*5)
X Proの利用条件――Xの課金プランについて
冒頭や背景でもちょっと触れましたが、X Proを使うには課金が必要なのでそこも説明しましょう。現Xの課金プランにはベーシック、プレミアム、プレミアムプラスの3種がありますが、X Proを使えるのは上位2種のプランに限られます*6。プレミアムプランなら月払いで918円、年払いで9180円(765円/月)ですね
ちなみに自分はレート制限を緩和するため、既にベーシックプランに加入して1年分支払ってました。こういう場合にプランを変更すると、残り期間の料金分が新しいプランの支払いから差し引かれます。無駄にならなくて助かる~
X Proの過去――OldTweetDeckとの関係
X Proの出自、そしてOldTweetDeckとは何なのか。本題からは逸れるので後回しにしましたが、この辺りも一応触れずにはいきますまい。となると話は、かつてTwitterのサードパーティーアプリが百花繚乱だった頃に遡ります。当時最も人気だったTwitterクライアントがTweetDeckで、Twitterに買収されて公式クライアントになったのがそもそもの始まりでした
それから10年が経過し、刷新された新TweetDeckのテスト提供が始まりました。が、そこから1~2年しても未完成な部分が多く、大半のユーザーは旧TweetDeckを利用。そんな状況にも関わらず、旧Deckの廃止、新Deckへの完全移行、TweetDeckの有料化、X Proへの名称変更が決定、決行されました
これまでどちらか選べたのに、機能で旧Deckに遠く及ばない新Deckを強制されて旧Deckを取り上げられるのはたまったもんじゃない!! そんな状況で登場したのがOldTweetDeckでした。ブラウザにこの拡張機能を導入することで、旧Deckを引き続き使用できるのです!
そこから更に2年ほど経った現在、改名当時ですらまだあちこち未完成だったりしたX Proも、流石にちゃんとした出来になっています。それでも機能面では種々の点でOldTweetDeckに軍配が上がり、X Proを使える課金アカウントの中にもOldTweetDeckユーザーが大勢いるという噂
代替策――無料で済むなら万々歳
X ProやOldTweetDeckに似た機能を利用する方法は他にもあります。費用が掛からなかったり規制されて使えなくなるリスクが低いのがメリットですね
まずは多機能ウェブブラウザVivaldiを利用する方法。複数のウェブサイトを並べて表示する機能と、ページを自動リロードする機能、タブ配置を保存する機能などを使います
自動リロードの間隔が最短1分なので、アニメ実況には力不足ですね。それと画面サイズに合わせて幅が決まるので、開く数が多いとドンドン1つ1つの列が狭くなっていく。一方で現X以外にふたばちゃんねるやYahoo!リアルタイム検索などなど、他のサイトも並べて表示できる上、横だけでなく縦とか格子状に並べたりできます*7。なので僕はVTuber実況は似たような感じでやってます
続いてOpen-Deckというブラウザ拡張機能。あくまで公式フロントエンドを利用しつつも便利な機能を提供するというコンセプト
危ない橋を渡らないことで、機能を塞がれたりアカウントが凍結されたりするリスクを避けることができます。なので性能はそれなりという評判。それと本当に危ない橋を避けられてるかどうか、細かく検証しないと第3者からは断言できませんね
結び
X Proはアニメ実況に使えるのか?という問いから始まった本記事ですが、結論として工夫次第で実況に十分用が足りると言えるでしょう。タイムラインの更新に若干のラグはあるものの、ショートカットキーの活用や複数カラムの配置によって快適な環境を構築できます。何より公式ツールなので、アカウント凍結の原因にはそうそうならないのは大きなメリットですね
思い返せば今回の凍結騒動のように現Xで混乱が生じるのも毎度のことで、以前も急なAPI制限でアニメ実況が混沌を極めていました。今は使えているツールがある日突然使えなくなる可能性は、今後も否定できません。そうした中で公式ツールであるX Proは、少なくとも現Xが健在な限りは何とかなりそうということで、手堅い選択ではないでしょうか
この記事が、課金の判断に迷っている「実況難民」の皆さんの参考になれば幸いです
*1:なお今回の騒動では、本アカで課金してX Proを使えるようにして、無課金のサブアカともども複数アカウント切換機能を使ってたら、無課金のアカウントは凍結されたなんて話もある模様
*2:ちなみに更新タイミングは列ごとにズレることもあった
*3:投稿送信のショートカットキーは左側の入力欄とポップアップの入力欄の両方で利用できる
*4:これが現Xとの連携が切られたはてブのマイホットエントリーの代わりに便利なのよ
*5:通常のページだとクリックして詳細を見るたびに中央の列がリセットされて、次の話題までスクロールさせられるのさぁ
*6:今回の凍結騒ぎでもプレミアムプラン以上の加入者は助かったという噂
*7:Windowsのウィンドウ配置機能を併用すると更に柔軟な配置が可能