考察とは名ばかりで感想?

最近は主にゲーム(戦略系)と資産運用(FXで食ってくぞ!)

スマプリ22話でやたらカメラワークが面白かったのでまとめてみた

キュアピースの絶望顔やジョーカーの悪役っぷりが話題のスマイルプリキュア22話ですが、Bパート前半のカメラワークがすごいことなってたのでまとめてみました

23話の放送に間に合わなかったのが残念無念


↑の状態からスタート

途中で一部「あれ?この子達どういう位置で並んでるの?」とわからなくなるところがあるので、その時はこの構図の画像に戻って確認すべし

これからどうしたらいいのか話し合う面々。まずはキャンディを助けないとという流れに

ちょっとわかりにくいが左上(ポップ)、右下(あかね)、左下(なお)の順で各キャラの発言に合わせて画面が切り替わる


話をしているキャラが向かい合うような、会話で一般的な自然な構図になっているのがよくわかるだろう。ここまでは会話がすんなり進んでいる、そのとおりの構図である

ところがここで、なおとあかねの間に配置されたれいかが文字通り割って入る


カメラがぐるっと回って正面かられいかを映す。この状況で何ができるのかと疑問を呈するれいかに、だからこそ一刻も早くキャンディを助けに行くべきだと主張するあかね

ここで面白いのが、カメラが回り込んだはずなのにあかねを映す構図がさっきと変わらないところ。これによって各キャラの立っている位置がわかりにくくなり、視聴者に不安定な印象を与える。まさにれいかの発言で話の流れに暗雲が立ち込め始めたのにぴったりの演出だ

ちなみに最初の画像に戻ってそれぞれが立っている位置を確認するとわかるが、実はれいかの正面を映すときにカメラはさほど回りこんでおらず、このあかねの構図はカメラがイマジナリーラインを超えることなく普通に成立する

そしてここでもまだ、会話をしている二人が向かい合っている自然な構図が維持されているのが面白い。あかねが上手に立っていて若干見下ろす構図、れいかが見上げる構図なのもポイントか。れいかの主張はその内容が弱気であると同時に、聞いている相手に受け入れられてはいないのが表れている。あかねは普通にれいかに反論し、この発言の時点ではまだ話の流れはキャンディ救出になっている

そこにやよいが声をかけてあかねが振り向く

この動きによって画面外のやよいがさらに上手である右側にいることがわかる。そしてあかねの右側は柱で区切られている

カメラがあかねの後ろに回り込み、画面内でのあかねとやよいの位置が逆転する。れいかのときと同様に話の流れが変わるタイミングなのだ

負けたらどうなるのだろうと不安を吐露するやよい

やはりやよいとあかねの間は柱で区切られており、さらにやよいは他の柱にも挟まれた狭いスペースに立っている。さっきまで各キャラは画面の縦ほぼ全部を使って腰から上が描かれていたのに対して、遠近法でより小さく描かれたやよいは、手前にあかねの後ろ姿があることでさらに小ささが強調される。萎縮したやよいの心情が現れた構図である

台詞の終盤で顔がアップになったやよいが振り向く。振り向いた先のあかねはやよいとは逆に小さく描かれる

やよいの主張がその場全体に浸透し、不安があかねにも伝わったのが非常にわかりやすい

実は最初の引きの絵の時からやよいは外側を向いている。ずっとキャンディ救出ではなく負ける不安について考えていたのだろう。そしてやよいが振り返ると同時にやよいが考えていた話題が全体の話題となる

ちなみに、下手方向を向いていたやよいが下手側から上手側を振り返るのは明らかに、迷って立ち止まったときの向きだ


あかねは小さく描かれると同時に影がかかっていて、正面から描かれているにもかかわらず画面右寄りに配置された非対称な構図で、不安定な印象を与える。さらに今度はあかねが柱の間に立っている*1

そして相変わらず柱が話し手と聞き手の間を区切る

さらに話を続けるやよいはあかねと逆方向を向いており、それを聞くなおとれいかもやよいと反対方向を向いている


やよいは柱とともに画面左、その話を聞くあかねは柱無しで画面右に配置され、やよい、あかねともに他者の立っている側に背景の曇り空だけが描かれて隔たりを感じさせる

元の世界に帰れなくなる可能性を指摘するやよいの言葉に息を飲む三人

あかね(右上)、れいか(右下)、なお(左下)の順に画面が切り替わるが、見事に向いている方向がばらばらである。口元を隠されたれいかや極端にも真横を向いたなおからは、微塵も他の人間の方を向いている様子が感じられない


実際はその直後の引きの絵を見ればわかるように皆、話をしているやよいの方を向いているのだが

あかねはやよいに答えかけたが二の句が継げない

引きの絵はばらばらの方向を向いている印象を打ち消せない一方で、あかねだけでなく皆の心がしぼんでいる様子が表れている

やよいが画面中央よりから柱が多く描かれている右外側へ移動して↓の絵。柱の圧迫感が酷い



柱に挟まれ、手前なので特に太く描かれた柱に仲間の側を遮られかつ仲間とは反対側に押しやられ、やよいはどうしてこうなったのかとつぶやく

それに答えるれいかの顔は映されず(左)、れいかが画面の隅に追いやられて彼女の正面にはいないなおが言葉を継ぎ(右下)、それに答えるあかねはなおから顔を背け、同じ画面内のやよいとみゆきはあかねの方を向いていない(左下)


相変わらず会話する二人が柱で区切られており、さらに全体が柱に挟まれている。画面に柱に挟まれていない部分は殆ど無い

なおがメルヘンランドを救う使命について触れれば背景に城が描かれ(右上)、そんな彼女の言葉に、下手に立って顔を背けながらあかねがこんなの聞いてなかったと言えば、彼女らをプリキュアにした側の者であるポップが映る(左下)

ポップの背景にも柱。画面の片側に寄って配置されたポップは画面の外側を向いており、彼も仲間の方を向いていないのを感じさせる

(前後の引きの絵を見ればわかるが、実は彼は一貫して東屋の内側の方を向いている。今のも最初に映ったときと同じ向きの構図である。あかねからポップに画面が移るときにイマジナリーラインを越えているのでわかりにくい)

ちなみに主役側の普通の進行方向は上手から下手であるから、彼が下手に背を向けているのは立ち止まっていると解釈できる

知人と二度と会えなくなるかもしれないと話すやよいは顔が映されず、画面全体が彼女の体で占められていて画面が狭い

そして(二度と会えなくなるのが)怖いとこぼすときになってやっと顔が映る。先ほどまで画面の中央に映っていたにも関わらず、彼女は画面の片側に寄って立っている






やよいに次々と同意するれいか、なお、あかねもまた、画面の中央から外れたところに位置している。画面に不自然に空間が空き、そこを区切る柱。それだけならさっきまでの通り

しかしさらに恐ろしいことには、もはや画面をどのように並べても彼女たちは向きあって会話していないどころか、誰の方も向かずに話していることがありありと見て取れるのである

あかね→ポップ→やよいと、つながりがわかりにくい画面の切り替えが続いた上、あかね→ポップとやよい→れいかの画面切り替えでカメラの位置と向きが大きく変化してしまい、もはや各画面のつながりも各キャラの位置関係もまるでわからなくなってしまっている。一応↑の画面は、実際の位置関係を考慮して並べてある。あるいは柱の画面を区切る役割を生かして、やよいとれいかの間に柱がくるように擬似的にれいかがやよいの右側にいるとみなしてもいいだろう。しかし、彼女たちがどのように並んでいても、例え↑のれいかとなおを逆に並べて向き合うようにしても二人が向き合っているようには見えないのである。視線を人に向けているように目が描かれていないから

画面のつながりがわからないためにキャラの位置関係が一層わからなくなり、キャラが誰も見ていなくて位置関係がわからないせいで画面のつながりが一層わからなくなる。そして画面のつながりや位置関係がわからないことで、各キャラがばらばらで不安定な印象が強くなるのだ

そのとき、みゆきが声を発してあかねが振り返り、カメラはみゆきの正面を映す

このようにカメラが後ろ姿から正面に回ったキャラは会話の中心になっている。このBパートで初めてのみゆきがメインの画面で、先ほどまでの皆と違ってみゆきは画面の中央に配置されていることに注意

自分たちがどうなるか不安に駆られる皆に、キャンディはどうなるのかと問いかけるみゆき

それを聞くポップの姿は、右に寄っているもののBパートで初めて正面から映される



それに対して引きの絵で描かれるプリキュア達。やよいは相変わらず柱の間で外を向いており、あかねも内側を見ていない

一瞬の沈黙ののち、柱を挟んだ外側に回りながらなおは、何もせずに帰れば見捨てることになると指摘する



反論しようとするあかねとやよいの言葉を、なおは振り返りながら語気を強めて打ち消そうとする。しかし彼女の言葉は結局弱々しく終わりながら画面が引きの絵に変わる*2

あかねとやよいはやはり柱に区切られ、挟まれている。振り返ったなおの、あかね達がいる側もまた柱。ここで面白いのが、それまでずっと柱を背にしていたなおが、ここではそうでないこと。そうして支えがなくなった次の瞬間には声がトーンダウンしている

引きの絵のポイントはなおが柱の外側ではなく間にとどまっていること。外に出る一歩を踏み出せていないのは帰ると決心していないということだ



そのときおもむろにポップが立ち上がり、東屋から出て歩き出す。巻き込んでしまったことを詫び、今ならまだ帰ることができる、元々自分たちの国の問題だからあとは任せろと言うポップ

東屋を出たポップの進む方向は下手から上手の向き

だから振り向いたなおやれいかは画面右の上手側を見ている



この場合下手から上手の移動は、「困難に抗って進む」と解釈できるだろう

プリキュア達は無茶だとポップを止めようとする


ポップと皆の距離はだいぶ離れたものとして画面に描かれる

ここでポップの進む向きが進行方向として通常の上手から下手向きに変わる。ポップが東屋を出たときからカメラは少しずつ移動して、今やポップを下手、プリキュア達を上手に真横から映す

この配置によって、進むポップと引き留めるプリキュア達という構図がよく画面に表れている。柱に区切られた画面の、ポップと反対側に配置されたやよい(右上)は特にわかりやすい


同様に、三人映っているカットでは柱が三人を区切っているだけでなく、三人は柱の間から外側へ出ていない*3



しばらく顔が映らない画面の続いたポップの口元が映り、続けてあかねを正面から映してから、そちらから見たといえるポップの後ろ姿を映す

ここで先ほどのままプリキュア達のいる方が上手とすると画面左が舞台で言う客席側であり、振り向く動作はそちらに尻を向けない方向で行われる

ポップは振り向きながら、妹が待ってるのだから行くしかないと言い、涙を流す

感情の発露とともに、初めてポップの顔全体が映される

しかし、その顔が向けられたプリキュア達は、れいかとやよいは目を合わせることができず、なおとあかねは顔を背ける




そしてこの引いた構図である

ポップから画面が切り替わってずっと、柱が皆を区切り、皆の視線の向きはバラバラ。画面が引いてもそれは同じで、もはや画面の中心近くにはみゆきしかいない。同じ構図の画面を比べてみれば、いかに皆の心が離れてしまった絵なのかわかるだろう

ここで再びみゆきが画面の中心に映り、今度は上にパンして初めてみゆきの顔全体が映る

自分にとって何が一番大切なのか、ちゃんと考えないといけない気がすると語るみゆき



皆を柱が(ry

目線がばらばらながら皆がみゆきの方を向き、そのみゆきは画面中央に配置され顔がアップになる。そして横顔からカメラが動いて正面のアップになり、みゆきは俯いていた顔をあげる


それはキャンディをとるか家族や友人をとるかということかと問うれいかに、もっと違う何かだと答えるみゆき



柱に挟まれて下手に位置し、画面内で自分から見て後ろよりに配置されたれいかが消極的に見えるのに対して、みゆきはさっきの横顔以来下手を向いており、上手に立ち、前方に柱を描かれず、画面内で自分の前の側に配置されて前向きな心持ちに見える

そして構図の抱える不安定さを打ち消すようにアップになる

カメラが引き、立ち位置はばらばらながらともに画面中心のみゆきを見る皆を映す

…何だこれ。何だこの画面から溢れる頼れる感。みゆきの主人公力がすごいことになっている!

以下ダイジェスト

ポップの提案で夜までそれぞれ考えることになり、解散する皆





真正面からど真ん中に描かれるみゆきに対して、画面の片側よりだったり斜めを向いていたりする四人。ばらばらの方向に別れて行き、最後に残ったみゆきも席を立つ



おまけ

楽しい思い出の回想シーンはさっきと正反対の構図だらけ

例)向かい合う皆


散々柱に区切られてたのに対して、集合するシーンでは壁が途切れてやよいが現れるのがいい


柱の間から踏み出すみゆき

今回はやたら振り向くシーンが多かったですが、だいたい動揺や不安の表れになっていますね

*1:ここはあかねの「えっ」っていう台詞も相まってなかなか

*2:ここは画面の切替と声優さんの演技がマッチしてすごくいい!

*3:絵面があまりにもあからさまで、思わずニヤニヤしてしまうw