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【株シストレ】IPOセカンダリ取引のシストレに挑戦すべきか【自分ヘッジファンド】

システムトレードで目指せ!自分ヘッジファンド

実は前々から、上場後のIPO株を取引するセカンダリ取引*1に興味がありまして、色々調べていたらIPO株を対象としたシストレ結果が公開されているのを見つけました。今回はそのシストレ手法がどれくらいのリスクで、どれくらいのリターンが狙えるか検討してみました

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(画像はネタ元の表紙から)

ネタ元

セカンダリ取引について書かれた本を探していたら

この本を見つけたのですが、 商品紹介に著者のサイトへのリンクが載せてある。行ってみるとそこにはIPOセカンダリ取引でシステムトレードを行うストラテジー2種類の検証結果が紹介されており、詳しいルールなどは有料なものの、バックテストの取引結果一覧が無料で見られるようになっています

sakiopsystr.wixsite.com

なるほど、この結果を見て金を払うか決めろということですね。どちらもグラフは順調に右肩上がり、17年強で累積リターンがそれぞれ1900%強と1100%強とすさまじい数字を叩き出しています! とはいえ実際のところリスクはどうなのか、そこのところをはっきりさせないと安心はできません。じっくり検証させてもらおうではないですか!

ひとまず1つ目の「即金規制明け銘柄狙い」の検証が終わったので、この記事ではその結果を紹介します

ちなみに即金規制とは、IPO株の人気が高すぎて初日に値が付かなかった場合に、買いを現金・指値のみに制限して需給を均衡させる仕組みのことです。値が付いた後は制限により買いが続かないため、当日は次第に値が下がるのでそこで買う→翌日に制限が外れて買いが増えて値が上がるのでそこで売る というのがセカンダリ取引の定石の一つとされています(参考↓)

web.archive.org

文字起こし

さて、元のサイトにバックテスト結果一覧があるとはいえ、画像で掲載されているのでそのままコピペして表計算ソフトに放り込むわけにはいきません。かと言って316もの取引結果を、画像を見ながら手打ちで入力するのはやってられないので、ちょうどいい文字起こしの方法を探してきました

www.marineroad.com

googleドライブに画像をアップロードし、それを何とgoogleドキュメントで開くと文字起こししてくれるそうです。流石に元の画像をそのまま放り込んでも上手くいかなかったので、10くらいに分割したうえで取引ごとの損益率の行だけトリミングして文字起こしさせました。後は誤認識を手修正して表計算ソフトにコピペするだけ。そこそこ手間がかかりましたが、全部手動よりはだいぶましだ

リスクの検討結果

さあて、お待ちかね。予想最大ドローダウンなどを計算した結果がこちらになります(「予想最大ドローダウン」などの用語の意味はリンク先の記事をご参照ください)

取引当たり平均損益 6.1%
取引当たり標準偏差 18.6%
取引数 316
経過営業日 4231
年平均取引数 18.3
元本保証取引数 82.3
予想最大ドローダウン 126.4%
期待年間リターン 112.5%

(注:年間の営業日数は2001~2018年の平均としました)

いや、ドローダウン最大126.4%て。完全に破産するじゃないかい! ちなみにもしやと思って実績最大ドローダウンを計算したところ94.25%でした…*2

いやいや、検証条件が単利だから成立して見えるだけで、バックテスト期間で実際にほぼ破産してんじゃねーか! グラフがまともに見えたのは、累積リターンが大きすぎて約100%のドローダウンでも小刻みな動きに見えただけだったという…

まあ、リスクが大きすぎるならポジションサイズを減らすだけです。投資額を全体の10%にすれば、予想最大ドローダウンを12.6%に抑えて年間リターン11.3%が期待できますからね。そもそも即金規制がかかった最中の銘柄を対象にするので、資産の大部分を代用有価証券にしてる僕では全体に対してその程度の割合しかこのストラテジーに使えませんし

ちなみに経過営業日の計算で少々工夫が必要だったので、後で記事にしようと思います

(追記)

記事にしました

kurutto115.hatenablog.com

年次リターン

ところで元サイトに掲載されている累積リターンのグラフ、二箇所で角度が変わり、後になるほど増え方が緩やかになっているように見えます。ただ、このグラフは横軸が取引回数なので、時間軸に直すとどうなるか一概には分かりません。そこで年次のグラフを作ってみました

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増え方が次第に鈍ってはいませんでしたが… 途中ですっごい停滞してるぞ!?

その原因ですが、リーマンショック後の数年間、数えるほどしか取引できなかったことに因ります。まあ、同じ停滞するにもシグナルは出てボラティリティはいつも通りなのよりはましですか

それにしても年によってリターンの差が大きいですね。まあボラティリティ大きいから当たり前ですか。バックテストの終盤は3年続いて60%前後。ポジションサイズを1/10として6%くらいは13%くらいのドローダウンのリスクで期待でき、いい年ならその数倍のリターンもあるというところですか。まあまあいいんじゃないでしょうか?

実績最大ドローダウンがほんの半月で生じたというのはちょっと不安ですが…*3 ちなみにそのドローダウンは3ヶ月で回復していますが、上で計算した元本保証取引数*4は年当たりの取引数の4倍以上なので、運が悪いとそれくらい回復にかかる危険が。まあ実際3年ほど横ばいなわけですしね

(追記)

 元サイトのもう一つのストラテジーも検証しました

kurutto115.hatenablog.com

*1:上場前に抽選などで買うプライマリ投資に対する用語

*2:元サイトの一覧を見て、2005/8/30の累積リターンから、2005/9/15の累積リターンを引いてみよう!

*3:統計上、最大ドローダウンが生じるまで1年くらいかかる計算になったんですけどね(計算法はこちら)。まあ以前もそういう現象に出くわしましたが、理論の前提が常に成立しているわけではないので…

*4:解説は例によって予想最大ドローダウンの説明記事をご覧ください