この前、株日記にクレジットカード決済の投資信託積立についてちょろっと書いたのですが、途中の中々美味しい話は単独で記事にしてもいいくらいの重要度に感じたので改めて書きました
ずばり、クレカ積立でとある投資信託を実質年利11.4%、シャープレシオ122にパワーアップしちゃう方法です!(シャープレシオ100超えとか普通に考えたらおかしいすぎる)
- 短期債券ファンドは価格変動が極端に少ない
- クレカ積立×短期債券ファンド=シャープレシオ122!
- クレカ積立をリストアップ
- 投信保有のポイント還元にも短期債券ファンドを活用
- ポイントは全て投資すべし
- おまけ:投資信託の時系列データの入手法
短期債券ファンドは価格変動が極端に少ない
きっかけは「今やってる投資に追加してポイント目当てでクレカ積立やりたい!」と思ったこと。確定利益のポイントさえもらえればよくて、積み立てる投信自体の利益はいいからできるだけ損失が出ないようにしようと考えると、出てくるのは国内短期債券の投資信託になります
例えば3年及び5年間の標準偏差が国内投資信託最小なのがこちら
国内の短期国債に投資するアクティブファンドで標準偏差が5年平均で0.25%。ここ10年ほどの価格変動は毎年最大で0.3%しかありません。でもこの投信、ここ数年ずっとリターンがマイナスなんですよね…(マイナス金利なので当然の結果)
というわけでリスクがお次に少ないファンドに登場いただきましょう
DLIBJ公社債オープン(短期コース) | 投資信託 | 楽天証券
国債は少しで国内の社債をメインに、海外の国債や社債にも多少投資して、おまけに金利先物や債券先物も少々というファンド。こちらはプラスリターンの年が大半なので安心です*1。5年平均の標準偏差が0.35%で2015年以降は毎年騰落率が0.3%以下と、だいぶ値動きが少ないですね
一方でこのファンド、2014年以前は今より明らかに値動きが大きいです。気になってもっとよく見てみると、実はこのファンド1999年スタートの結構老舗のファンドなのですが、どうもかつては今より明らかに値動きが大きい(月次レポートに設定来のチャートが載ってます)。恐らく今はマイナス金利なので簡単にベンチマークに勝てるから大人しくしているだけで、短期国債が普通に利益出てた頃はもっと積極的にリスクを取る運用方針だったのでしょう。となると今後また運用方針が変わるリスクがありますが、その場合今度は短期国債がまともに利益出るようになってるでしょうから、そっちに乗り換えればいいだけです
クレカ積立×短期債券ファンド=シャープレシオ122!
続いて短期債券ファンドをクレカ積立した時の威力を数値で検証していきましょう。プラスリターンが狙えるのでしばらく積み立てたままでも良いのですが、資金効率を上げるなら積み立てたらとっとと取り崩して次の積立に回すべきであり、できるだけリスクを抑えるのであれば積み立てた翌日に取り崩すべきです
2015年以降のDLIBJ公社債オープン(短期コース)の値動きから日次の標準偏差を計算すると約0.027%。よって積み立てて翌日取り崩すのを1年続けると標準偏差は12回分で約0.093%。それに対して毎月ポイント還元が1%とすると、信託財産留保額が0.05%なので年間の実質リターンは11.4%。以上からシャープレシオは約122となります
こうして理論上はとんでもない数値を叩き出すことができますが、DLIBJ公社債オープン(短期コース)そのもののシャープレシオははっきり言って微妙です(まあ国内債券ファンドは運用難でみんなシャープレシオ微妙なんですが)。年率リターンも0.1~0.2%くらいしかなく、これくらいなら価格変動リスクのない定期預金とか証券連携口座で普通に達成できるのでそっちの方がいいです。もしくはもっとリスクを取ってシャープレシオの高いファンドを買うという手もあります。年率標準偏差2~3%の低リスクファンドには、『投資のソムリエ』のようにシャープレシオの高い投信もあるので(まあ短期債券ファンドと比べるとリスクが一桁増えますが)
クレカ積立をリストアップ
「いくらシャープレシオ122つっても5万円しか運用できないじゃねーか!」との声が聞こえてきそうですね。よくぞお気づきになられた。クレカ積立は月5万円までなので上記の方法でシャープレシオ122を実現できるのも5万円まで…! そう、1つの証券会社ならね!!
クレカ積立ができるクレジットカードと証券会社の組み合わせは複数あるので、20万円くらいは行けちゃいます(積立サービス開始目前のところがあるので断言できない)。楽天とSBI以外はあまり知られていないと思うので、クレカ積立の選択肢を全てリストアップしてみました*2
- 楽天証券×楽天カード=1%還元
- マネックス証券×マネックスカード=1%還元(予想)
- SBI証券×三井住友カード=1%還元(条件あり)
- SBI証券×高島屋カード=0.3%還元(条件あり)
- tsumiki証券×エポスカード=実質0.92%還元(条件あり)
- セゾンポケット×セゾンカード=0.1%還元
- セゾンポケット×UCカード=0.1%還元
※マネックス証券のクレカ積立はこの冬開始予定。還元率は告知されていませんが、マネックスカードの還元率が通常1%なので投信積立も同様と予想
※三井住友カードの投信積立で1%還元されるにはゴールドカードが必要
※エポスカードの投信積立で実質0.92%還元というのは、ゴールドカードで50万円使用した場合の2500ポイントを考慮した場合(月5万円積み立てる想定)。積立自体のポイント還元は0.5%だが、積立4年目以前は還元率が下がる
高島屋カードは還元率低い*3しポイントが高島屋でしか使えないし多分三井住友カードと併用できないのでNG。セゾンポケットも還元率が渋すぎるのでNG*4*5。それとtsumiki証券は取り扱い銘柄が限られてるので短期債券ファンドを選べません。債券85%の『まるごとひふみ15』を積み立ててさっさと換金しましょう
ちなみに複数の証券会社で積み立てる他にも家族で積み立てる方法があります。夫婦でカードと証券会社の口座を作れば、積み立てられる額は2倍! 両親にもやらせれば4倍!!*6 それにカードも証券会社もお友達紹介プログラムでポイントもらえたりするので、家族でやる戦略はそっちも狙えます
投信保有のポイント還元にも短期債券ファンドを活用
クレカ積立の他に投資信託の保有にもポイント還元がありますね。良さげな短期債券ファンドは保有によるポイント還元が低く抑えられていますが、実は使い道があります。SBI証券はポイント還元対象投信の保有額1000万円以上の場合ポイント還元にボーナスが付く*7ので、1000万円に足りない場合に現金ポジションを短期債券ファンドに移して1000万円に届かせるという手が使えます
具体的に考えてみましょう。元々500~900万円分の投信*8を保有していて、合わせて1000万になるように短期債券ファンドを購入します。短期債券ファンドの下落は最大0.3%を想定。これで100万円ずつ金額を変化させていくと…
投信保有額 | 短期債券ファンドでの嵩増し | ポイント増加額 | 短期債券ファンドの想定最大損失 | 短期債券ファンドのスターリングレシオ向上 |
500万 | 500万 | 5000 | 1万5000 | 0.33 |
600万 | 400万 | 6000 | 1万2000 | 0.50 |
700万 | 300万 | 7000 | 9000 | 0.78 |
800万 | 200万 | 8000 | 6000 | 1.33 |
900万 | 100万 | 9000 | 3000 | 3.00 |
※短期債券ファンドによるポイントの増加を短期債券ファンドのリターン向上と考えて、スターリングレシオ(=リターン/最大損失)の増分を計算しています
なるほど。投信保有額700万辺りからお得な感じがしてきますね。短期債券ファンドのシャープレシオは元々0.3くらいなので、合わせて1を超えてきます。投信保有額800万以上になるともう絶対やるべき(まあ現金ポジションがどれだけあるかっていう問題はありますが*9)
しかしこのテクニック、ポイント還元率が低い低コストインデックス投信をメインにしてるような人には全然役立ちませんね… 逆に僕みたいなアクティブファンドびいきには大いに有用なので、せいぜい活用させていただきます
ポイントは全て投資すべし
こうしてゲットしたポイントですが、ポイントによる支払いにポイントが付かない――多くのポイント還元制度はそういう仕組みになっています。楽天ポイントのようにポイントによる支払いにもポイントが付く場合でも、その分クレジットカードの支払いが減るのでクレカで貯まるポイントが減ります。つまり、支払いにはポイントを使わず、貯まったポイントは全て投資して換金するのが最も効率的なのです*10
同様に、証券会社のクレカ積立はポイントを併用せず全額クレカで支払いましょう。ただでさえ積立可能額に上限があるのに、ポイントを使うことでクレカの利用額を減らしてしまっては勿体無い
しっかし投信保有額に対して0.1%のオーダーでポイント還元されると、最早配当再投資ならぬポイント再投資の様相を呈してきますね。税金引かれない分美味しい
おまけ:投資信託の時系列データの入手法
DLIBJ公社債オープン(短期コース)の日次標準偏差を計算するために基準価額の時系列データが必要だったんですが、モーニングスターのサイトからCSVを手に入れることができました*11
まずは投資信託の個別ページを開いて、チャートのタブを選択
チャートのページ下部に時系列データへのリンクがあり
期間などを指定した上でダウンロードすることができます
おまけとしてデータを利用した計算内容をgoogleスプレッドシートに貼っておきました
*1:まあそれでも1%もない年ばかりですが
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*3:しかも4年目まで還元率下がる
*4:永久不滅ポイントは1ポイント=5円でアマギフやSuicaチャージで換金できる
*5:個別株やETFも積み立てられるのは有能なんですけどね
*6:面倒なので自分はやらせませんが
*7:ポイント還元率が最高 (0.1%) の銘柄のみ。還元率0.2%にアップ
*8:全てポイント還元率0.1%の銘柄とする
*10:中にはVポイントのようにクレカ利用額を減らさずクレカ支払いに充当できる便利なやつもありますが