個別株を空売りするなら貸借銘柄が安定ですが、聞くところによると一般信用を活用すれば大体何でも売れるそうです
そんなことを小耳に挟んだタイミングで、検討している売り戦略が貸借銘柄に絞ると微妙だと発覚
なので大概の銘柄が売れるという話は今の僕にとって朗報中の朗報、最早福音なのです
しかし、これまで一般信用といえば金利が高いという印象で制度信用しか使っておらず、一般信用のことはあんまり分からない…。ということで基礎から調べてきました!
(画像は楽天証券のサイトから拝借)
一般信用ってどんなもの?
まず、一般的に一般信用は長期、短期、デイトレ(日計り)用の3種類があります。主な違いは返済期限で、制度信用と合わせると↓のように4種類の返済期限がありますね
買いと売りを分けると7種類になります(一般信用短期は売りのみなので)。そして証券会社によってどの種類の取り扱いがあるか異なり*1、さらに銘柄によってもどの種類の信用取引が行えるか違うわけです
ここで制度信用は取引所が買える銘柄と売れる銘柄を決めて日証金が広く融通してるので、どの証券会社でも取引できる銘柄は基本一緒です。一方、一般信用は個々の証券会社で買う資金や売る株式を用意しているため、証券会社によって取扱銘柄は異なります。制度信用で取引できない銘柄が取引出来たり、取引できる銘柄ができなかったりします。さらに証券会社が用意している株式には限りがあるので、一般信用で空売りできる銘柄には「在庫」が設定されており、それが無くなると一般信用売りできません
実際どれだけの銘柄を空売りできるのか。実際の取引はせずにシストレのシグナルを確認して1週間ちょっと調べてみました。すると本当にSBI証券と楽天証券の2社で仕掛け銘柄をほとんどカバーできています。どちらにも一般信用が無い銘柄は制度信用で何とかなる。取引規制がネックになるんじゃないかと思ってましたが、日証金が規制してて制度信用で売れなくても一般信用で売れることが多いですし、証券会社の規制も当然会社ごとに違うのでどちらかの会社で売れるのが普通。在庫も前日の夜のうちなら基本残ってますね。楽天で在庫切れでもSBIで残ってるパターンもありますし*2
(ただ、この前まで使ってたマルチストラテジーの売り戦略ではもっと規制に引っかかってた印象なので、ストラテジーによって売れない銘柄にシグナルが出やすかったりするのはありそうです)
(あくまでその日のうちに返済するデイトレ用の一般信用売りを含んだ話なので、数日以上の一般信用売りが出来る銘柄はだいぶ減ります*3)
余談ですが、一般信用、特にデイトレ用のサービス名は↓のように証券会社によってまちまちです。かといって共通の呼び方があるわけでもないので面倒ですね
デイトレ用 | 空売り料(後述) | |
SBI証券 | 日計り信用 | HYPER料(HYPER空売り) |
楽天証券 | いちにち信用 | 特別空売り料 |
マネックス証券 | ワンデイ信用 | スペシャル空売り料 |
auカブコム証券 | デイトレ信用 | プレミアム料(プレミアム料付き空売り) |
松井証券 | 一日信用取引 | プレミアム空売り料 |
一般信用のコストは?
制度信用取引に比べて金利が高いのでコストがかかる印象の一般信用取引ですが、詳しく調べていくと複雑です。とりあえずSBIと楽天について表にすると
となります。え? 無期限だと制度信用と基本一緒じゃん! そしてデイトレ用の場合ですが、何と50万を超える注文だと金利・貸株料無料です!! さらにデイトレ用一般信用取引は手数料も無料。至れり尽くせりか? 自分はこれからやるつもりのシストレがデイトレなのでだいぶ助かる(でも結構50万超えないこともあるなぁ…。まあ誤差か?)
ここで注意が必要なのが、デイトレ用の場合銘柄によっては空売り料が別途かかるということです。空売り料は銘柄ごとに決められていて、無料の銘柄も多いですし、数十、数百円ならいいのですが、多い時は50万ほどの取引で数千円持ってかれることがあります
ちなみにETFやREITは信用取引の手数料無料です。それと一般信用の利点として逆日歩が無いことが挙げられますね*4(まあこれまで検証したところそんなに逆日歩で困ることなさそうですが)
また、SBIと楽天の場合は定額コースで一日100万円まで手数料が無料です。まあデイトレだと返済も同じ日なので実質50万となるところ、SBIは制度信用と一般信用で手数料が別枠*5なので合わせて100万。楽天はデイトレすると決済分の手数料が無料なのでやはり100万の手数料が無料になります。空売り料がかかるような時はこっちの方が得ですね。まあ枠が少ないので、制度信用売りは信用取引手数料が全て無料の証券会社でやるつもりですが
注意が必要なのは、返済期限を過ぎると追加でコストがかかること。デイトレ用は特にその日返済取引が成立しなくて持ち越しちゃう危険がありますからね。持ち越した分は休日も含めて、金利・貸株料*6と空売り料が発生し、更に強制決済は電話注文の手数料が請求されます。空売り料は銘柄によっては一日数千円取られるので休みを挟むと特にヤバいですし、強制決済の手数料もSBIで2200円*7とか3960円*8など、楽天で3575円*9か3795円*10取られます。まあ持ち越しちゃう場合って大抵ストップ高/安になってるやつなんで、ここらの追加コストなんて損失全体に比べたら誤差かもしれませんが
複数の証券会社での資金管理
さて、SBIと楽天の2社でデイトレなら大体空売りできるという話をしてきましたが、複数の証券会社で取引するとなると資金のやり繰りが課題になりますね。何せ日によってSBIと楽天に使う資金の割合が変わってしまう
ここで活用したいのが銀行との口座連携。SBI証券は住信SBIネット銀行、楽天証券は楽天銀行の口座にある資金で取引でき、証券会社の預り金は銀行口座に移されるわけですが、これを利用すると
- 楽天銀行→(即時入金)→SBI証券→(自動スイープ)→住信SBIネット銀行
- 住信SBIネット銀行→(即時入金)→楽天証券→(自動スイープ)→楽天銀行
というように自在に資金を移動できます
合わせて便利なのが代用有価証券。中長期で投資している現物株や投資信託を信用取引の担保に使えます
というわけでSBIと楽天は便利なのですが、問題は制度信用のために使う信用取引手数料無料の証券会社ですよ。候補を比較すると次の通り
銀行連携 | 即時入金 | 備考 | |
SMBC日興証券 | ○ | △ | |
SBIネオトレード証券 | × | ○ | 特殊注文が充実 |
立花証券e支店 | × | × | API有り |
SMBC日興証券は三井住友銀行と口座連携できるので、即時出金→銀行からSBIや楽天に即時入金が可能です。しかし、SMBC日興証券は即時入金できる銀行にSBIや楽天が入ってない! その点ネオトレードは即時入金に問題ありませんが、出金は口座振替のみ。立花は入金も出金も口座振替のみ
ここでネオトレードはIFD注文やOCO注文といった特殊注文が充実しているのが強み。立花はAPIがあるので取引の自動化に使えるのが強みですね。ついでなのでここで指摘しておくと、楽天は前場引け以前から大引不成注文が出せてデイトレにめっちゃ便利
取り敢えずの自分のやり方としては、運用額100万として、SBIは投資信託を持ってるので代用有価証券で、楽天に50万、ネオトレードに50万。毎日必要に応じて資金を移動しますが、バッファーとして住信SBIネット銀行にある生活防衛資金を活用します*11
…これ、資金の移動という観点ならこれでいいんですけど、ドローダウンに備えた資金面でのバッファーはこれでいいのかっていう問題があるんですよね。代用有価証券を使えば、運用額100万を丸々バッファーに使えると思ったんだけどなぁ。いや、証券会社に置いてある分が生活防衛資金で、銀行に置いてあるのがドローダウンに備えたバッファー資金と考えればいいのか*12。倒錯してるなぁ
*2:楽天の方が取扱銘柄が多くて空売り料も安いことが多いのですが、その分在庫が切れやすい印象
*3:というかSBIは長期の一般信用売りできる銘柄に全然遭遇しませんねぇ。割と長期でも売れる楽天は優秀。ちなみに一般信用短期は激レア
*4:日証金から株を借りないので当然日証金に逆日歩払う必要が無い
*5:ちなみに現物も別枠。なので信用買い→現引きで最大300万円の現物株を手数料無料で買えます
*6:デイトレ用で無料の場合も持ち越した分は通常の利率が課される
*7:50万円以下の取引
*8:50~100万円の取引
*9:30万円以下の取引
*10:30万円超の取引
*11:ちなみにほとんど楽天で仕掛けるような日もあるようですが、銀行から楽天に50万入金すればそれで済むので特に問題無いですね
*12:んで、バッファー資金が尽きたら生活防衛資金を守るために長期で投資してる銘柄を取り崩すと。まあそもそも生活防衛資金が長期投資のドローダウンに備えたバッファー資金なんですけれども