考察とは名ばかりで感想?

最近は主にゲーム(戦略系)と資産運用(FXで食ってくぞ!)

ガンダムSEED FREEDOMの小説版で補完されてた箇所などのメモ

かつて、戦争があった――

遺伝子を調整し、生まれながらにして優れた

身体能力や頭脳を持つ人類(コーディネーター)と

自然のままに生まれた人類(ナチュラル)が存在する時代。

コーディネーターとナチュラルの間では

己の存在をかけた思想が衝突し、

武力を用いた戦争へと発展していた。

 

その最中、個々へ役割を強制的に与え、

競争のない世界を創成するシステム

「デスティニープラン」が提唱されるが、

人類の自由な未来と希望を守るため

「デスティニープラン」は戦いの中、

拒絶されることとなった*1

――そして、20年の時が流れた


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ってこれじゃあガンダムXだよ~!

というネタが成立するほどの長い時間が経ってついに待望の劇場版、待望の続編であるSEED FREEDOMが公開されました。更に公開翌週にもう小説版上巻が発売!!

地の文があるので詰め込みまくりの映画では拾いきれなかった情報が盛り沢山でうれしい! そういう箇所にマーカーを引きまくったので*2、忘備録じみてここにまとめることにしました

世界は彼のもの。そして、彼は世界のものだった。(p.15)*3

文章だと曖昧にできるわけですが、映画だと水中に浮かぶオルフェっぽい奴を映しながら議長の声で語られるプロローグ*4。この一文は本書でも後で触れられる、ラクスが母から受け取った言葉と同様の内容なわけです*5

というわけで映像が無くても文脈からこのプロローグを言われてるのはオルフェと分かるわけですが、議長の声で言ってるのが面白い。オルフェが生まれた頃に議長はまだ少年で2人の接点はまだ無いはず。単に議長はデスティニー・プランの象徴であって、実際の台詞ではなく完全にイメージのシーンなのか?

ここはアフリカ共和国オルドリン自治区。プラント経済特区だ。(p.16)

開幕戦闘が発生してる地名は映画でもテロップでしっかり表示されてましたが、アフリカ共和国…? ここで旧作のおさらい。コズミック・イラ70年代のアフリカは2ヶ国が覇を競っている。主に北アフリカを支配していた親プラントのアフリカ共同体と、マスドライバーのあるビクトリア湖干拓地を含むサハラ以南を支配していた地球連合加盟国の南アフリカ統一機構…ってどっちでもない国が新たに出てきたんだが??(これ、元の2ヶ国は滅んでそうだな…)

んで、ブルコスが攻めてきてるとこは自治区でプラントの経済特区でザフトの部隊が駐留してると。…うん、これ完全に地球の現地の国がボロボロでろくに統治できてないからコーディネーターが逃げてきてる地域をプラントに丸投げしてるやつだな?

プラント、オーブ、大西洋連邦は『平和維持のための、実行力を保有した、非国家、非遺伝子差別的な能動的組織』として、コンパスの設立を決めた。(p.24)

オーブが提唱して成立した (p.25)

コンパスは3ヶ国共同で設立されてるわけですが、オーブの呼びかけで作られたんですね。カガリ仕事してるな。そして大西洋連邦が参加してるとはいえ地球連合から他の国は参加してないし、オーブの発案とはいえスカンジナビアみたいな他の中立国も当然ノータッチと

それにしても「非遺伝子差別的」という文言がすごくコズミック・イラ

コンパスは救難、復興支援も行う組織だが、シンたちは今回のように、ブルーコスモスの破壊活動に対する出撃がほとんどだ。(p.25)

コンパスって武力鎮圧するだけの組織じゃないんですね。そして武力鎮圧する相手は大体ブルコスという(アークエンジェルが載せてる部隊は他の組織と戦闘したりしてる可能性はあるが)

コーディネイターを自然の摂理に反した存在として忌避し、抹殺しようとするテロ集団ブルーコスモスは、何度も盟主を変えながら、なおも看過しがたい勢力を保っている。(p.25)

そもそもブルーコスモスって盟主がいる以外は作中で組織としての描写があんまりなくて、組織というより思想って感じでしたが、今ではテロ集団としてちゃんと組織的に活動してるんですね。元は環境保護団体で、コーディネーター抹殺を支持せず新たにコーディネーターを作ることに反対するだけの穏健派ブルコスもいっぱいいるって話だったのに…

カナジにミケール大佐はいなかった (p.26)

彼の参戦はフェイク。ザフトに国境侵犯させるのが狙い (p.26)

ここのところずっと、ブルーコスモスの襲撃は同じパターンだ。何の前触れもなく、プラント関係の居住地や施設に攻撃をしかける。(p.26)

最初っから帰還を想定しない作戦 (p.26)

攻撃側の戦力にしても、まるで使い捨て (p.27)

もしカナジを焼き払ったあとで、ミケール大佐がいなかった、ということにでもなれば…… (p.29)

それを発端に、またしても国家間の戦争が始まっていたかもしれないのだ。(p.29)

最近のブルコスの作戦はザフトを奇襲して盟主の存在を匂わせ、そこにいない盟主を餌に反撃を誘発して巻き添えが出ることで反プラント感情を煽り、あわよくば対プラント戦争を再開させるというものらしい。しかも攻撃を察知されないよう拠点から離れたところを片道前提で攻撃するという、よく戦力が持つなそれってやつ。兵士と兵器の扱いが悪すぎて敵なのにシンがキレる

先日のオルドリン自治区襲撃事件において、コンパスの行動を問題視する声は、ザフト内でも上がっている。(p.28)

ザフトがやり過ぎそうだったのでキラに攻撃されたのは流石にザフトでも文句たらたららしい

というわけでナチュラルとコーディネーター双方から文句を言われるコンパス総裁のお仕事がこちら

ラクスは、沈鬱な表情で、丁重な謝罪と見舞いの言葉を贈る。どうやらそれが、コンパス総裁の主な仕事らしい、と思い始めていた。(p.28)

この頭を下げることなど、何とも思わない。

世界が戦争の泥沼へと逆戻りすることにくらべたら。

キラが感じている痛みにくらべたら──。(p.29)

キラが戦ってるんだから自分も自分の戦いをしないとって感じ

ユーラシアはコンパスを承認していない。(p.31)

プラントに対する姿勢も強硬だ。むしろ、ブルーコスモスの存在を黙認している可能性すらある。

いつまでたってもブルーコスモスの軍備が衰えないのも、このあたりが理由ではないだろうか。(p.31)

はい、ここでコンパスに参加してる地球連合の国が大西洋連邦だけじゃん!ってのが効いてきます。てか参加しないどころか承認しないってのがすごい。つまりユーラシアからしたら3ヶ国が勝手に武力行使してるという認識な訳で…

そしてブルコスの戦力が正規軍から離脱した残党連中なのに、兵力を使い捨てにする作戦を続けられる辺りの理由もこれ。思想がブルコス寄りの国がお目こぼしして思想がブルコスの連中がガンガン金や物や人を提供しているらしい。とはいえ非合法な連中がモビルスーツを当たり前に使えてるコズミック・イラの治安よ…(大概のガンダムがそんな感じの世界ではあるが)

およそ戦場には似つかわしくない、静かな印象ですが……今は、この戦争の矛盾を一人で背負おうとしているようだ (p.32)

たいていの人は、『あのフリーダム』のパイロットが、あまりに物静かでやさしげな男であることに驚く。(p.32)

出た! この作品、ひいてはSEEDシリーズのお話の根幹の要素!

そもそも戦いとは縁遠い内気な学生だったキラが戦争に巻き込まれてから始まって、一旦戦争が終わったら田舎に引っ込んでたのにまた戦わずにはいられない状況になって、それで戦い続ける覚悟をさせられたけど終わらない戦いに苦しんでる

元々向いてないのに戦ってるから、そういう人間を増やすデスティニー・プランには反対だし、弱音を漏らすのも「君達が弱いから!」になる

「タオ閣下の……?」

本を読んでいた若者がうなずいてみせる。

「よろしく。国防委員長」(p.33)

ジャガンナートはタオ宰相の名前を呼んでたけどプラントに来てたのシュラだよな?という混乱があったけど正確にはこういう台詞だったのね

オーブの代表首長、カガリ・ユラ・アスハは、コンパスの発起人である (p.34)

コンパスを提唱したのはオーブなので、当然オーブの元首であるカガリがコンパスを作ったという形になる

ユーラシア南部の、歴史はあるが小さな国が、ある日突然、ユーラシアからの独立を宣言したのだ。(p.36)

経済的、技術的にめざましい成長を見せ、宇宙にも拠点を作りつつある。(p.36)

明らかに怪しいファウンデーションという国の背景。一応元から歴史ある土地だったらしい。そして映画で見るといきなりこいつら宇宙艦隊持ってたんかい!となるファウンデーションが小国ながら宇宙にも進出してるという説明。オーブもコロニー持ってたくらいだしな

かの国が”デスティニー・プラン”を運用していたとしても、それをとがめる法はない。だが国際社会から認められる道はさらに遠のくだろう。(p.37)

クローンや新たにコーディネーターを生み出すのと違ってデスティニー・プランを禁じるものは特に無いのはやっぱりなのですが、それでも実施してたら大抵の国はドン引き案件なんだ… 議長の時は割と様子見の国が多かった気がするが

半年前のフリーダム強奪事件では、オーブも彼らに借りがある (p.38)

アークエンジェルに引き渡されたフリーダムがテロリストに強奪され、地上の施設を襲うという事件が起こったときのことだ。そのときテロを鎮圧できたのは、ファウンデーション所属のモビルスーツがフリーダムを撃墜してくれたからだった。(p.38)

映画では皆さんご存じって感じに軽く触れられるだけだった前日譚! 元々はこの事件を描く作品でライジングフリーダムが颯爽登場だったらしいやつ!(これが端折られたせいでライフリ君はヤラレメカみたいな扱いに…)

そういう経緯だったのね…(明らかにファウンデーションの仕込みだろ)

あの介入のタイミングといい、垣間見せたモビルスーツの性能の高さといい、むしろ警戒心をあおるものだ。(p.38)

今回の申し出もそうだ。あまりにタイミングがよすぎるような気がして、ラクスはためらう。(p.38)

作中でも普通にそう思われてるっていうw

敵の標的がフリーダム一機に絞られるぶん、よそへの被害が少ないのだと技術士官のアルバートなどは言っている。(p.39)

キラが単騎で敵の矢面に立ち、シン達に民間人を守らせる戦法について。シンは不甲斐なさを感じるが悪い作戦ではない。てかアルバートはマジでキラへの評価高いよな

自分はたしかに、デュランダル議長におだてられ、認められて調子に乗っていた。そして彼を信じ、彼の思うままに動くコマとして利用されていた。あまりに騙されやすい大馬鹿だ。

そんな自分が、今度はキラに認められたい──なんて。そんなふうに望むこと自体が、間違っているのかもしれない……。(p.42)

フリーダム倒したあんたが隊長に信頼されたいとかおめでたいわね みたいな感じでアグネスに馬鹿にされたシン、忠犬ムーブしたがりな気質を反省する。そもそも他から見たらキラとシンが普通に仲良くしてるのがビックリですからね。視聴者からしてもアスランと和解した実績のあるキラは戦う理由がシンにもあったんだろうと理解するだろうとして、生身のキラと会って話したらすぐキラの考えに感銘を受けて和解できるシンは素直な良い子だねぇ

ヴィーノは単純にアグネスのことを『いい子』だと思っているようだ。(p.44)

アグネスはシンやルナマリアと同期なので当然ヴィーノとも同期。良い子ちゃんぶるためにアグネスはちょくちょくヴィーノに手を貸してやってるらしいが、そんなのヴィーノからしたら普通に良い子である

アグネスって妙にこういう基本がそんなに悪人じゃないところがあるというか、アグネスが色々やらかしてる割にどうにも憎めないキャラなの、作ってる側もそういうキャラとして作ってるっぽいなこれ

攻撃を受けているのはプラントの施設なんですけれど、被害に遭われている方の多くがナチュラルなんですよね。コンパスは何をやっているんだという市民の怒りはもっともだと (p.47)

ラクスが料理作るついでに流してるニュースの解説。ザフトがいるとことはいえ地上で攻撃を仕掛けたら当然こうなる。流石ベルリンを焼いた連中の残党である

ラクスの方も仕事が詰まっている。それでも久しぶりのキラの帰りにあわせて、無理に休暇を取った。(p.47)

ラクスの健気さが割増しになる追加情報。そもそも今のキラは軍艦乗りみたいなもんなのでそりゃたまの帰りにはなるだけ会いたいよね

コンパスの総裁を引き受ける──と、キラに告げたときのことを思い出す。

──いいえ、キラ、望まれたからではないのです。

──私も望むのです。あなたとともに、戦うことを。(p.47)

キラは一人で背負い込もうとしている一方でラクスは自分も戦おうとしている。結果、コンパスに対する不満に頭を下げて、イライラは料理で発散する仕事をしているのだ。大人ですね

アルバートはここまで一息でまくしたて、険悪な表情でため息をついた。

いつものことなので、キラは気にせずたずねる。(p.48)

毎度早口のアルバートとすっかり慣れてるキラの図。気が合うんだろうなぁこの二人。何気にこういうキラの元からの専門に近い分野で仲良くできるキャラあんまりいなかったなぁ。戦うんじゃないキラの側面を引き出してくれる

ミレニアムの技術士官であるアルバート・ハインラインは、とてつもなく優秀で、とてつもなく早口で、とてつもなく人当たりが悪い。(p.48)

アルバートはフリーダム、ジャスティスの生みの親の一人だ。(p.49)

名前で明らかに種無印の頃から設定に出てくるハインライン設計局の関係者なアルバート。フリーダムやジャスティスを作ったんだからキラ達の恩人ですね。昔から陰ながら支えていてくれてたのだ。こいつ映画で初登場なのに

この艦長は、もと教師ということだ。(p.49)

コノエ艦長の艦に乗ると、生きて帰れる、と評判なのだそうだ。(p.49)

キラもまたこの艦長に信頼を寄せるようになった。功を焦って兵を死なせる艦長より、ずっといい。(p.49)

映画では特に語られなかったコノエ艦長のバックグラウンド。そもそも雑に囮にされて死にそうになって離反したのがアークエンジェルの乗組員達なので、僚艦の艦長にはピッタリだろう

もと教師らしい、いたわりのこもった声だった。こんな艦長だからこそ、アルバートのようにくせの強い人間も許容できるのだろう。(p.50)

穏健的な人間を集めてるだろうとはいえ、3ヶ国からナチュラルとコーディネーターが集まってる組織でリーダーやるには、これくらい良い上司でないと。教師だから色々な生徒の面倒見る羽目になってたんだろうなぁ

本当のラクスには刺客を送り、口を封じようとした。(p.55)

ラクスを殺しに来た暗殺者は普通に議長の手の者だったとか、普通にザラ派残党辺りの仕業を議長が見逃してやってたとか色々説がありますが、本作では(少なくともラクスの認識としては)議長が直接やらせたということらしい

皆が求め、熱狂的に支持する『ラクス・クライン』。平和の歌姫。戦争の英雄。救世主。

その偶像は、もはやラクス本人の希望や意思とは関係なく、完全に一人歩きしている。(p.55)

その問題から逃げ出してしまったからこそ、ミーアが彼女の代わりをさせられ、命まで奪われたのだ。

だから今度は、逃げずに立ち向かおうと思った。コンパス総裁を引き受けたのはそのためでもある。(p.56)

種デスで隠遁してたら大変なことになってしまったので表舞台に出ることを覚悟したラクス。本人は本来そういう人間でもないのに、自分がやらないと犠牲が出るのでやるしか無い。完全にキラと同じ構図

あそこの独立運動のとき、ユーラシアの連中が『見た』んだってよ──ケルピーをさ (p.60)

フリーダム強奪事件のとき、一瞬だけ目にした、その凄まじい運動性能と、ビームを跳ね返した未知の装甲。あれは、ファウンデーションのモビルスーツだった。

あれを目にした兵士が『バケモノ』と口走ったとしても、不思議はないような気がする。(p.60)

ケルピーは水妖なので水中用MSのズゴックと結びつけられて考えられがちなここら辺の話だが、ファウンデーション独立運動の頃はまだアスランも潜入してないだろうし、話の流れから普通にブラックナイツのことらしい。洗脳能力で幻覚でも見せたか?

すべてがあまりに華麗かつ重厚で、上官たちに続いて進むシンは、完全に圧倒されていた。(p.68)

すべてに感嘆していたシンは、みなが頭を下げるのに気付いて、慌てて自分もならった。

まるで中世の時代に入り込んだみたいで、自分がひどく場違いに思える。(p.69)

SEEDじゃなくてギアスのセンスじゃないか??ってなるファウンデーションの歴史ある王宮の雰囲気だが、発展した近代的な新市街との対比を交えて文章でしっかり説明されると意外とすっきり飲み込めるものですね。PVだと反骨精神の塊に見えたシンは単に気圧されてるだけだった

もちろん剣など使えない。そもそもキラは兵士としての訓練すら受けていないのだ。(p.71)

元々キラは兵士じゃないだろうが!というお話のダメ押し。ずっと成り行きで戦う羽目になって、向いてないのにやるっきゃなくなってましたからね

だが、ムウが袖を引いてささやきかけた。

「……やらせてみろ」

え?──とキラは振り向いたが、ムウは推し量るような目でシュラたちを見ている。

ブラックナイトスコードの力量を見たいということか?(p.72)

隣のムウが「ほう……」と感嘆の声を漏らす。だがキラはハラハラして、感心する余裕もない。(p.72)

見るとムウはホルスターに手をかけ、今にも銃を抜きそうだ。(p.73)

ブラックナイツのことを見極めようと決闘騒ぎもやらせちゃうムウ、流石にやんちゃすぎる。いざとなったら撃つつもりでも向こうは先にシンを斬れるんだから駄目でしょ! こういう妙に頼りにならないところがあるのも相変わらずだなぁ

激昂するシンに、キラは声をかけた。

「やめろ、シン」

シンはぴたっと口を閉ざし、おとなしく引き下がる。(p.73)

作中屈指のシンの忠犬ムーブ。止めるのがアスランだったらこうはいかない。イングリットには止められないブラックナイツとは対照的

そして、さらに『上物』が現れると、ポイと捨ててしまう。(p.79)

実は以前の恋人に、彼女は手ひどい裏切りを受けている。(p.80)

アグネスの暴れっぷりにも原因となる過去があるという話。まあ完全に自業自得である

誰もが誰かに必要とされる社会 (p.84)

デスティニー・プランを導入して底辺ナチュラルをスラムに捨ててるオルフェがこういう世界を理想として語るの、大嘘つきめ

アグネスはショックを受けた。誰だって自分にキスされたら喜ぶに決まってると思っていたからだ。(p.91)

キラに拒まれてショックを受けるアグネス、自己評価高すぎだろこいつ!

「この国……表通りは立派なものだが、それは見せかけだ」

注意深く隠された一角には貧民街があり、一部の国民は政府の恩恵を一切受けていない。

デモ隊がコンパス到着時を狙って活動しようとしたが、武装警察によって直前に排除された。多数の逮捕者が連行され、うち何人かはその場で撃ち殺されている。

ファウンデーションに潜入したアスランは、その粛正を目撃することになった。

デモ隊が掲げたプラカードに書かれていた文字は──

「──”デスティニー・プラン”反対、だ」(p.101)

映画ではスラムでデモ隊が虐殺されるのとそれを建物の陰から目撃するアスランがさらっと描かれただけだったが、小説版では拠点に戻ってきたアスランがメイリンに詳しく説明するシーンが追加されている。そういやファウンデーションでデスティニー・プランが実施されてるのはここでアスランが確認してくれるまで推測のままだったという

「そうですね……アウラ・マハ・ハイバルは、C.E.72に先帝の養女になっています。ハイバル家の遠縁のカイドゥ家から……ところが、カイドゥ家の記録には該当する年齢の女児が見当たらないんです。ただ……」

メイリンがパソコンの画面をこちらに向ける。

「C.E.25に同じ『アウラ』という名前の女子が……」(p.102)

ハイバル家自体はキプチャク・ハン国の時代にまで遡れる、歴史ある王家だ (p.103)

先帝の資金の流れを見ていたんですけど……ほら、これ (p.103)

C.E.25生まれというのはアウラが50歳という設定と合致するので、王家の血筋なのは本当らしい。そしてアウラを養女にした先帝の資金が怪しいとこに流れてるということは、元から国ぐるみでアウラの研究に出資してたな?

だが、彼らの表情は一様に、抑えきれないほどの喜びに満ちていた。(p.66)

ここにいる皆が喜びと期待に胸を高鳴らせている。(p.104)

普段は態度が悪いブラックナイツも、同胞であるラクスが仲間になるのは素直に嬉しいようだ。こいつら身内には優しいタイプね

今イングリットは、彼らにけっして胸の内を悟らせないよう、かたく心を閉ざした。(p.105)

オルフェが好きなイングリットだけはラクスがオルフェの嫁に来るのが嬉しくないようで。「胸に秘める」が読心効かないレベルなの、普通に読心が結構弱い。オルフェがラクスを口説く→それを見たキラが曇る→同じく見ていたイングリットが悶える、という一連の天丼芸の流れの最後のイングリットも、頑張って恋心を秘めるためにああなってたわけだ

コンパスはプラントの手先で、プラントはいつでも自分たちの領地をかすめ取ろうとしている──と、おそらく彼らは信じている。(p.107)

ユーラシアのプラントに対する認識何なんだよ! この警戒心はむしろ大西洋連邦がコンパスに参加してるのが悪いんじゃないかってレベル(大西洋連邦はちょくちょくユーラシアに貧乏くじ引かせてたからな…)

ファウンデーション軍は一般市民の避難誘導とともに、国境をかためてブルーコスモスの逃亡を防ぐ。軍事緩衝地帯の向こう側では、ユーラシアも同様に兵力を展開しているはずだ。(p.108)

だからファウンデーションは自然に部隊を展開できるし、ユーラシアの部隊もいるのでアウラ達の思う壷なわけですね

「ああっ!」

シュラはわざと、悲痛な声を上げた。

彼はすでに何事が起こっているのか、完璧に理解していた。(p.111)

事前の申し合わせでは、ファウンデーション軍は国境に待機し、軍事干渉地帯のエルドアに立ち入ることは認められていなかった。だが、この惨状を見ていたユーラシア将校たちも、苦い表情ながらもうなずく。(p.112)

こちらの工作員を潜り込ませてはいたが、ブルーコスモスの奴らは期待以上に派手な行動に出てくれた。これで文句なしに国境を越えられる。こちらの仕事がやりやすくなるというものだ。(p.113)

というわけで、作戦場所に入り込んであれこれするためのファウンデーションの仕込みだったわけですが、具体的に何をやるかはブルーコスモスの采配なので、人間爆弾は流石のやり口としか言いようがない。映画だと流石に引いてる感じのリアクションだったシュラでしたが、小説版の書きっぷりだと怪しい奴に既に気付いててリアクションは演技っていう

反逆──はありえない。だが、譫妄は──?

キラが本当に・・・・・・いもしないミケールを見ているとしたら・・・・・・・・・・・・・・・・・・*6

やさしさがついに彼を壊してしまったとしたら?

恐れていた事態がついに起こってしまったのか? (p.122)

これをきっかけに、またも世界を巻き込む大戦になりかねない。(p.123)

ラクスはキラが戦い続けて傷ついていることを気に病んでおり(小説版の地の文で映画よりもその辺りしっかり描かれている)、もうメンタルがギリギリなのも気付いていたため、譫妄か反逆だというオルフェの言葉にとうとうキラの気が触れたという解釈が頭に浮かんでしまう

そこに立て続けにこれまで何とか守ってきた平和が灰燼に帰す恐れを突き付けられ、キラへの攻撃を許してしまう

「NJダズラーによるジャミングです」

アルバートが計器を見、解析を始める。

「これはまだ実用化には至っていない……量子スパッタリングの制御をどう解決したんだ?──これはユーラシアでもブルーコスモスでもない」(p.124)

通信を妨害しているのがユーラシアでもブルーコスモスでもない・・・・・・・・・・・・・・・・・・のなら──これは相当にまずい状況ということだ。(p.125)

ファウンデーションの通信妨害は名前からしてNJが電波干渉する原理を利用しているようだ。そして実用化されてないはずの新技術なので使ったのはコンパス、ブルーコスモス、ユーラシアのどこでもないのがバレるというw まあ優秀なアルバートがいなかったら原因が分からないのでバレないから問題無いはずだったのだがw*7

最後の迎撃手段がルナマリアのゲルググしかないのだ。自分たちだけ逃げるわけにもいかない。(p.135)

コノエは心の隅で思う。

もしかして、それさえも計算されているのか? (p.135)

コンパスどころかファウンデーション軍もブルーコスモス討伐に向かっているので核ミサイルを迎撃する戦力がいない。そこも策略を巡らした結果だとすると、2発撃って1発目を迎撃してたら2発目がコースを変えて迎撃できなくなるのも狙い通りなんだろうなあ

ラクスは無益と知りながら、懸命に祈る。(p.138)

核発射を受けて避難するラクスがシャトルから一瞬街並みが見えての反応。核の標的にされた人々に対して彼女が出来ることはこれしか無い。キラとともに戦おうとしたラクスがキラと同様に己の無力を感じる瞬間

こんな程度の男が私を傷つけるなんて、許されるわけない!

ざまあみろ!

アグネスは高々とサーベルを構え、キラの上に振り下ろそうとした。

自分の汚点を完全に消し去ろうとするかのように。(p.151)

シュラがキラを倒した良い感じのタイミングで現れて止めを刺そうとするアグネス。自己評価が高すぎるせいで他人に自尊心が傷つけられ、それに対して相手を始末することで乗り越えようとしてるのか…

強い敵を──より強い敵を──シュラは求めずにはいられない。

自分こそが最強だと証明するために。(p.152)

これでもそれなりに優秀なパイロットだ。

シュラが連れて行くことにしたのは、彼女の腕を惜しんでのことだった。(p.154)

シンやキラに対しては自分が最強だと証明するための最強さを求めてガッカリしたシュラですが、アグネスには別にそういうことを求めていないので、普通に強さを評価して死なせるには惜しいと思っているギャップが面白い

その男そこ、キラたちがその所在を捜し続け、捕縛しようとした人物──ミケール大佐だった。(p.155)

振り向いた男の顔を凄まじい閃光が灼き、次いで数千度の熱を帯びた爆風が彼の体を、ヘリコプターを、岩山ごと吹き飛ばしていった。(p.156)

というわけで、新キャラで出番も全然無いし説明も無いので映画だと結局ミケールは本当にいたのか?ってなるんですけど、ちゃんと死んでるようです

*1:以上小説版種フリより世界観を紹介する一節から抜粋

*2:物理書籍と違って電書だとためらいなく書き込みが出来るので助かる~

*3:ページ数はkindle版による

*4:冒頭6分がウェブ公開されてもう一度見るまですっかり忘れてた

*5:この言葉の初出は結構前なので、ラクスの出生に関する設定は以前から有ったものと思われる

*6:縦書き原文の傍点は黒ゴマ(﹅)だが、横書きの体裁を考慮してこの記事ではビュレット(ドット)とした

*7:ミレニアムにレクイエム撃ったのもノイマンがいなけりゃ大成功だもんなぁw こんなんばっかw