前回売り戦略にイザナミとシス達のどちらを使うか検討した結果、イザナミにしろシス達にしろバックテストが不正確であることが露呈してしまいました
仕方ないので恐らく正確だと思われる、以前iTRADEでバックテストした時のデータを改めて分析しつつ、シス達でもうちょっとマシなバックテストができないもんか探っていきます
iTRADEのデータを再検討
というわけで、iTRADEから保存しといたデータを分析して、このストラテジー(通称「斉藤式空売りデイトレ」)のより正確な実力を見極めようと思います。以前同じデータで検討した際には、計算から予想される最大ドローダウンに対して実績値が明らかに大きい結果となりました。これは同じ日に行われる取引のリターンに相関があるのが原因だと考えられることから、取引毎ではなく日次の損益を用いて改めて検討を行いました*1
結果
データから計算した結果を表にまとめました(用語については以前の記事を参照)
期待年間リターン | 325.7% |
予想最大ドローダウン | 72.5% |
実績最大ドローダウン | 103.4% |
予想カルマーレシオ | 4.50 |
実績カルマーレシオ | 3.15 |
元本保証期間 | 218.0日(0.89年) |
実績最長ドローダウン期間 | 75日 |
考察
取引毎で計算した予想最大ドローダウンは57.4%だったので、日次で計算することで確かに実績値に近づいたのですが、まだまだ実績値が予想値を明らかに上回ってますね…(違う日でも相関があるということか)。となるとやっぱり予想値の倍くらいを覚悟しておくと、いざという時に慌てることにならなくて済むでしょう(結局取引毎で計算した時と同じ結論ですが)
ところで実績のドローダウン期間がやたら短いですね。まあこれはたまたまで、実際は保証期間で考えるのが妥当だと思いますが。問題は最大ドローダウンが計算の倍だとすると、保証期間も倍になる計算なんですよねぇ(1年以内に収めるべきだと言われますが、2年近くなってしまう…)
実績最大ドローダウンが予想最大ドローダウンの1.43倍なんで、保証期間もそれくらいで済めば310.8日なんでまだ…やっぱり長いな。まあどうせ売り戦略に使うのは100万+予備資金だけで、残りの資金は通常の投資信託などの買い持ち(バイ&ホールド)に回すので、全体としては何とかなるでしょう(後で検証します)
シス達によるフォワードテスト
さて、↑のデータは2008/3/26~2021/3/6の期間で検証したものですが、是非ともそれ以降、コロナショックの大底までとそこからの回復局面でどうだったのか確認してみたいものです。そもそも、バックテストだけだと利益が出ているのはたまたまの可能性があり、ストラテジー作成に使ってない期間を見る(フォワードテスト)ことで戦略の実力を確認できますからね!
ここでシス達は1990年からの株価データを用意しており、2008年より前の期間でガッツリ検証できるわけですが、シス達を使うと前回明らかになった問題が立ちふさがってきます。しかし、もし貸借銘柄が変わっていることが問題の原因であれば、期間を区切って当時の貸借銘柄でテストすれば解決できるはずです(正確にやるなら月ごとくらいの区切りにしたいけど手間がかかるのでひとまず年単位で)
貸借銘柄一覧の再構築
貸借銘柄の一覧を用意するには東証のサイト*2などからリストをダウンロードするのが普通ですが、ファイルが更新されてしまうので過去のリストは手に入りません。銘柄の追加と削除は表にまとめられているので、それを元に一覧を再構築することになります。ちなみに現在閲覧可能な追加/削除の表に記載されているのは2019年以降の動静、同じページのweb魚拓*3では2014年以降の動静が確認できます
(ちなみにiTRADEが持っている信用銘柄の記録は2013年以降)
というわけで各年末の貸借銘柄一覧の再構築を始めたわけですが手間が掛かり過ぎ! 現在の一覧に過去削除された銘柄を戻していくのに比べ、過去追加された銘柄を除いていくのがやたら面倒なので、削除銘柄の復帰だけやった通称「貸借銘柄一覧(仮)」で十分再現できるか確認しました(そもそも上場廃止されるような銘柄がリストに残ってないから、取り消される前に株価が下がる時に仕掛けられなくなるわけで、取り消された銘柄を全部追加すれば全期間でそれなりに再現できるのでは??)
再構築した一覧によるテスト結果
こうして再構築した貸借銘柄一覧を使用したシス達のバックテスト結果とiTradeの結果を、月次損益で比較しました*4。ちなみにiTRADEの検討はレバレッジ3倍なのでシス達も2.8倍から3倍に戻してやってます*5
詳しい結果は省略しますが、まずは2021年10月の貸借銘柄一覧と2020年12月の貸借銘柄一覧での結果を比較すると当然月次損益が異なってますね。これは当然なんですが*6、2020年12月の貸借銘柄一覧と貸借銘柄一覧(仮)でも同じくらい結果が違うんですよ。そうすると案の定、2019年12月の貸借銘柄一覧(仮)の結果をiTRADEのものと比較すると全然違う。こうしてシス達でテストするという試みは失敗しました
ついでに2021年10月の貸借銘柄一覧から、日証金の規制銘柄*7を抜いた一覧と抜く前の一覧での結果(↓)を比較したんですが
やっぱり制限銘柄抜きの方が儲からなそう。でも10月の貸借銘柄一覧自体がどれだけ遡って通用するか微妙だからな…
次の予定
というわけで結局iTRADEに課金して改めてテストすることに決めました。だってシス達だと実はフォワードの結果がマイナスになってくるので、このストラテジー自体が怪しいんだもん
それと銘柄を絞られるとリターンが落ちる可能性が出てきたので、一般信用を利用する検討もした方が良さそうですね*8(単純に全銘柄でバックテストするなら貸借銘柄の変遷も関係ないですし*9)
(追記)
iTRADEで改めてテストしたところ、貸借銘柄だけではヤバいことが明らかになりました
(追記ここまで)
余談
銘柄一覧をアーカイブ
貸借銘柄の一覧を再構築するのが酷く手間だったので、今後似たようなことで困ることが無いよう、公開されているファイルを自前でアーカイブすることにしました。このアーカイブは他の人にも有用でしょうから、クラウドに保存して下記に公開することにします
保存しているのは
- 制度信用・貸借銘柄一覧(日本取引所グループが毎月公開)
- 制度信用・貸借選定銘柄一覧(日本取引所グループが公開)
- 制度信用・貸借選定取消銘柄一覧(日本取引所グループが公開)
- 貸借取引銘柄別制限措置等一覧(日証金が順次更新。月ごとに取得)
になります
株価データの使い回しを断念
イザナミでダウンロードした株価データをシス達で使えるんじゃないかと思ったんですけど駄目でした。イザナミの株価データはCSVで出力とかできないし、シス達も取り込むのは無理
シス達に使用する株価データ購入の注意点
というわけで金払ってシス達の株価データ更新したのですが、初めてのデータ利用権延長で色々気付いたところがあるので覚書
株価データを配信している会社のサイトを見ると
1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年の利用権を販売しており、クレカも利用可能と書いてあるのですが、実際にクレカが使えるのは1ヶ月と3ヶ月だけです。購入しようとして利用権の期間を選択する画面になって初めて知らされるという
それとクレカで決済すると即時に利用権が延長されるので、急いでるなら1ヶ月で申し込む手もありますね。口座振替で申し込むとすぐに自動でメールが来て振込先を連絡され、振込が終わればすぐにデータのダウンロードが可能になります(振込先の連絡が迷惑メール扱いされてて1日気付かなかった~)。これなら更新がギリギリになっても間に合うか?